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DIY、家族と戦う
第二回家族イベント前篇 その02
しおりを挟むそんなわけで、始まった家族イベント。
いろいろと言いたいことはあったが、住民たちの期待の視線にも抗いがたい。
まずは転移し、約束の地『闘技領域』へ。
観覧席に移動した俺は、集まっていた参加者たちに声を届ける。
≪えー。ただいまより、最強決定戦を始めますが……まず初めに、エキシビションマッチからやります。どういったものか、ちゃんと見て理解するように≫
俺はその場から動かない。
これから戦うのは、参加はしていなかったが頼みに応じて演技をしてくれる者たちだ。
≪では赤コーナー──かつては森、そして今や世界を守るこのお方。みんなのお母さん、風兎! 今回は、少しでも楽しんでもらえればと協力を受け入れてくださいました≫
『おい、なんだその紹介は!!』
≪いえ、皆さんの本心ですよ。ほら、ちゃんと反応を見てくださいよ≫
『……くっ、後で覚えておけ』
なんだかんだ、暴力で訴えてはこないのでそこまで怖くは無い。
それよりも、待機しているもう一人をこの場に呼ぼう。
≪続きまして青コーナー──体は闇でできている。血潮は魔薬で心は歯車。そんな彼女の名前はエクリ! 私と『SEBAS』が共に生み出した技術の髄、それを風兎を相手取りお見せすることになります≫
特典素材『黒淵穴亡抽核遺骸[エクリエンド]』を基に、:DIY:を使い遺失した技術やら現在では実現不可能な技術も用いて生み出された『終従人形』。
それだけでなく、ある『プログレス』の力により魂も備わっている。
人造人間とも機械人形とも違う、生体人形とも呼べる存在だ。
そんな二人……一匹と一体により、エキシビションマッチが行われる。
これから何度やるであろう、魔物と人型の戦闘のお手本だ。
≪それでは──試合開始です!≫
待たせるのもアレなので、さっそく試合を開始する。
風兎は小さい体を使った接近タイプ、エクリは文字通り何でもできる万能タイプだ。
『行くぞ──『ストームスーツ』』
「いつでも──『コレクトキャプチャー』」
互いに『プログレス』を起動する。
風兎は嵐を纏い、敏捷力と同時に攻撃性と防御性を秘めた風の鎧を創り出す。
そして、エクリは──
「“アップ・ロード:ブレイブソウル”」
その名はショウの持つ『プログレス』。
だが、エクリの能力は俺と『SEBAS』が権限を与えることで、『プログレス』に限り既存のモノすべてを対象にできる。
その能力とは──存在の蒐集。
条件さえ満たせば、『超越者』の権能すらも好きなタイミングで再現できるという埒外の能力である。
人の技術と魔物由来の素材、そして未知のシステム『プログレス』。
それら三つの組み合わせ、それこそがエクリの強みであった。
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