1,781 / 2,721
DIY、家族と戦う
第二回家族イベント準備 その06
しおりを挟むアイスプルに来たがる『騎士王』を誤魔化しながら、交渉を進めていく。
対価として、ある程度のことはやるつもりだ……その件も相談するんだけどな。
「いちおう確認しておくが、まだ特典素材を余らせている……なんてことはないよな?」
「私は無いな」
「……【円卓騎士】は?」
「昔のように、『生者』に会いたいと告げる者が居るな」
今は強制送還も一瞬で済むので、お世話になる時間もさして無い。
彼らは強者であるため、国民に被害を及ぼす固有種の討伐に駆り出されるのだろう。
ネームド種にせよユニーク種にせよ、一般人では倒せないぐらいに強い。
だからこそ、より強い者が倒し……弱者に力が手に入りづらくなる。
特典素材を使ったアイテムならば、限定的に誰かへ貸すことができる場合もあるがな。
まあ、他者が強化されることを選ぶなんてこと、弱肉強食なこの世界じゃほぼ無いが。
「…………まあ、『騎士王』にはいつもお世話になっているからな。別の機会があれば、一人ぐらいやるか」
「本当か!?」
「うおっ、そんなにか? というか、素材で落ちる方が珍しいだろうに」
「ふっ、何を言うか。貴公がやると言えば、願望が生まれる。そうなれば、ほぼ確実に素材として落ちるだろう」
腕のある職人に伝手がある、あるいは当人が職人ならばそうなる可能性は高まる。
逆に言えば、そういった人物が居ない環境下であれば普通に討伐者に適した形へ。
装備できる数に限度はあるだろうが、それは適時切り替えればいいだけの話。
……普通、戦闘中に何度も武器を切り替えるだけでスキルが手に入るからな。
「むっ、どうかしたか?」
「……いや、自分の弱さを嘆きたくなっただけだ。それより、生産世界からの要望について確認したいんだが、ちょっといいか?」
「ああ、構わんが……それよりも──」
「うむ。少しマナー違反だが、屋台はそういう物だしな。食べながらにしようか」
出来上がった串焼きを店主が持ってきたので、『騎士王』と共に食す。
漬けるところからやっていたので、完成までが結構長かったんだよな。
「! 今回の物もなかなかイケるな!」
「いつものタレを、ブレンドして熟成させているからな。スキルもいっさい使わず、手間暇かけてやってるんだ、そう評価されないと困っていたよ」
「むぐむぐ……そうか。生産世界には、こちらからも圧を掛けておく。幸い、『生者』の腕は本物だからな。どれだけ過剰な要求をしようが、奴らにはその価値に準ずる対価が要求できないだろう」
「そこまでかよ……」
自信ありげな『騎士王』に、外交辺りも任せられそうだ。
……さて、原人関係の話は、これぐらいでいいかな。
0
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる