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DIY、家族と戦う
執事雇用 前篇
しおりを挟む「──第二回、家族イベントを開催する!」
突然叫んだ俺に訝し気な視線を向ける娘。
息子は目をキラキラ輝かせ、妻はあらあらと笑みを浮かべている。
「アレからいろいろあった……翔はいつの間にか拡大しているし、舞はもふもふ度が向上しているし。瑠璃に至っては、もう語ろうにも長くなるぐらいにいろいろやってる」
「もう、そんなに褒めても何も出ないわよ」
「……いつも瑠璃には、たくさん幸せを貰っているよ」
「……アナタ」
『ゴホンッ!』
おっと、子供たちが飽きれた様子で溜め息まで……。
それじゃあ気を取り直して、説明を続けないとな。
「アイスプルに全然来てくれないこと、これに関してはまあいいだろう。こっちの設備が不十分、みんなの人間関係など単純に解決できるような問題ばかりじゃないからな。ともあれ、アイスプルはいつでも大歓迎だ」
「じゃあ、今回も?」
「うーん、本当ならみんなの好きな場所でやりたいんだが……すまんな、ジンリおじさんがストーカーレベルで、俺を探しているから冒険世界はダメなんだ」
「ジンリさん……諦めた方がいいんじゃないの?」
いろいろあって、瑠璃が拒絶しないギリギリのラインを突いて現実世界の彼もまた、子供たちと顔を会わせていた。
子供たちから見るジンリは、カリスマ性溢れる理想の大人……なんだとか。
うん、父親がそう思われていないのは、複雑な心情ではあるが……事実そうだしな。
やり方はどうあろうと、実際ホワイト企業で億万長者な彼である。
瑠璃というスーパーラッキーゴッデスが居なければ、俺が関わることも無かったかも。
「いちおう、逃げられているからな。時間の問題なのかもしれないが、今はなんとか誤魔化せているし」
「…………えっ、お父さん、なんとかできてるの?」
「そこを疑われるとは。まあ、仕方ないか。ならここで、俺を助けてくれる頼もしい味方の紹介をしようか」
『頼もしい味方?』
子供二人が首を傾げる中、俺は意味ありげに手を挙げて──指を鳴らす。
本来ならば、この後は何も起きずに静寂が場を支配するはずだった。
『……えっ?』
「うふふ」
「一度顔を合わせていると思うが、こっちだと初めてだしな──『SEBAS』!」
勝手に家のテレビが起動すると、真っ黒な画面から映像が流れ始める。
数字の羅列がほんの数秒出現すると、すぐに今度は音声が聞こえてきた。
《翔様、舞様、そして瑠璃様。お久しぶりでございます》
「えっ、なんで!?」
「お父さん、これって……」
「いろいろあって、こっちの世界でも我が家の執事をやってくれることになった。EHOの運営側にも、話はすでに付けてある。何かあったら、いつでも頼ってやって欲しい」
《皆様の生活のサポートをさせていただきます。『SEBAS』、とお呼びください》
うん、瑠璃は先に話をしてあったので、サプライズが成功して嬉しそうだ。
……というか、話を通していなかったらどうなっていたか分からんし。
まあ、何はともあれ『SEBAS』は我が家に[ログイン]できるようになった。
アイスプル云々の話は……まあ、この後でもできるよな。
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