1,754 / 2,815
DIY、今度は開く
探索イベント その13
しおりを挟むイベントエリア 攻速の間:初級
タイムアタックを行うための部屋は、先ほどまで居た『不思議な家:初級』とまったく同じ構造をしていた。
やることは同じなのだろう。
ただ一つ違うのは、頭上に浮かぶ数字のカウントが減っておらず、ゼロのまま微動だにしていない点だろうか。
そして、代わりに俺の網膜に表示されている『スタート』という文字。
どうやら念入りな準備をしてから、即座に開始できるようにしてくれていたようだ。
先ほどまで、余裕そうにエクリと連絡をしていたのはそのため。
ここもここで、割と休憩スポットとして利用できそうである。
「まあ、いつまでもこうしていると何があるか分からないし……ドローンを頼む」
《畏まりました──ドローンを展開します》
せっかくなので、どれほどのタイムで攻略できるのかを試してみることに。
俺自身のスタート地点は弄れないようなので、ドローンを出すだけに留める。
ドローンも動くことができず、ただ宙を漂うだけ……しかし、カメラは動くらしい。
《前回と配置に差異を確認しました。やはり前回とまったく同じ手順では、攻略はできないようです》
「うーん、まあそれでもいい。初見……じゃないけども、一度目でどれくらいのタイムを出せるか気になる。前回、ゆっくりしていたアレでどれくらいなんだ?」
《前回のタイムは五分二十三秒です》
「割と時間が経っていたのか……それをどれだけ短くできるか、それで充分だ」
そして、そのまま『スタート』を押す。
カウントが始まるのと同時に、俺の動きを制限していた何かが失われる。
ドローンもまた、『SEBAS』の遠隔操作を受けて行動を開始。
前回怪しいと決めていたであろう部分を、徹底的に探していく。
「じゃあ俺は、例の部屋に──」
《旦那様、鍵を発見しました》
「……は、早いな」
《すぐにそちらへお持ちします》
宣言通り、ドローンが鍵を持ってきたので俺が鍵を解錠。
扉を開けると再びドローンが飛んできて、中を物色していく。
「……」
《鍵を発見しました》
「そっか……よし、行こうか」
移動は普通に歩き。
急げばいいのだが、どうせなら更なる時間省略の余地を残しておきたかった。
そして、ドアの前に辿り着いたところで、鍵を差し込んで回し──解錠。
ドアノブを捻り、扉を開いて……カウントが停止する。
「タイムは……二分四十秒。うん、きっちり半分か」
《おめでとうございます》
「おっ、三分を切るとご褒美にポイントが増えるみたいだな。よしよし、来て良かったなここに」
さて、エクリの方はどうなったかな?
しばらくは扉から離れて、様子を窺ってみようか。
0
お気に入りに追加
646
あなたにおすすめの小説

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】会いたいあなたはどこにもいない
野村にれ
恋愛
私の家族は反乱で殺され、私も処刑された。
そして私は家族の罪を暴いた貴族の娘として再び生まれた。
これは足りない罪を償えという意味なのか。
私の会いたいあなたはもうどこにもいないのに。
それでも償いのために生きている。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる