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DIY、今度は開く
探索イベント その09
しおりを挟む魔法の罠で出現するスライムを利用し、解錠に成功した。
扉が開くと、いつの間にやら手の中には新たな鍵が出現している。
「……『初級の鍵:魔物の間』か。これ、要は大量に魔物が出てくるのか?」
《おそらくは。ただ、戦闘メインのイベントでは無いため、攻撃力は皆無の魔物のはずです。そのうえで、スライムのように罠として出現する魔物や、新たに罠を設置する魔物が出現するかも可能性があります》
「【罠士】、いや魔物だとトラッパー系の個体か? まあ、いずれにせよそうなると看破系のスキルが必要になりそうだな」
いちおう【罠士】は生産とも繋がっているため、それなりに育てられている。
ただし、俺は罠を解除してアイテムとして回収する職業に特化しているからな。
今回のイベントの場合、回収する能力も必要だがそれより見つける能力が必要になる。
俺は『SEBAS』がサポートしてくれるので問題ないが、そっちの方が難しいのだ。
「それこそ、上級にもなれば特化職でも無いとクリアできなくなるんじゃないか? さすがに『SEBAS』でも、機材ゼロの俺の視界限定だけじゃ脱出は難しいだろう?」
《……そう、かもしれません。申し訳ありません》
「『セバスチャン』を使えば、あるいはか。まあ、どうせ向かう予定は無いから気にしなくていいぞ。ただ、『SEBAS』の力をいつでも活かせるような環境は、用意しておかないとな」
俺をサポートする『プログレス』は、俺を介してのみしか効力を発揮しない。
だが、俺という存在のスペック以上で俺の成すべきことをやってくれるのだ。
たとえ機材が無くとも、元より俺を殺してでもいつも要望に応えてくれている。
その実績があるからか、頼めばどんなことでもやってくれる……そんな能力なのだ。
だが、相応に消費するものがあるので、何度も多用はできない。
だからこそ、いつもは能力を使わない補助だけで済ませているんだよな。
しかし、そのままだと解決できない問題が今回浮上してきたわけで。
それ以上の問題など、『超越者』がこれから何度でも引き起こすだろうからな。
「とりあえず、魔物の間を他の休人たちが入れるようにしないとな……」
《畏まりました──エクリへ転送します》
《受け取りました。では、これより解放を実行します》
しばらくして、アナウンスが入り新たなエリアが用意されたことが休人に伝わる。
しっかり身を隠して行ったからだろう、犯人捜しを始める休人を何人か観た。
《隠蔽スキルの成功を確認しました》
「そりゃあ良かった。気配を消すとか、擬似スキルとして組み込むのにちょっと手間取ったからな……ある程度、スキルレベルを上げている連中で試せてよかったよ」
《ただ、何人か違和感を感じていました。上級職や等位の高いスキル持ちの可能性があります。彼らには、完全な隠蔽が働いていないのでしょう》
エクリに組み込んだ擬似スキル。
それはシステムが組み込まれたスキルを、再現だけで忠実に真似ている代物。
しかし、まだまだ不完全……改良の余地がありそうだな。
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