虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、今度は開く

探索イベント その08

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 メインである『不思議』シリーズのエリア攻略だけでなく、条件達成で出現するサブエリアの攻略もしなければならない休人たち。

 俺はメイン攻略をやらず、ひたすらサブエリアの解放でポイント稼ぎをすることに。
 全鍵の確認、針金ピッキングに続き、俺が行う解錠方法とは──

「おっ、あったこれだ。魔法の鍵」

 世間一般、魔法の鍵と言えば特定の宝箱を開ける物……みたいな認識だろうか。
 それは割と近く、現実でたとえるなら電子キーのような代物だ。

 まあ、直接鍵穴に近づけないと開けられない点を考慮すると、昔ながらの鍵と電子キーの中間ぐらいだろうか。

 ともあれ、そんな魔法の鍵なのだが……中には警備システムを搭載した物も。
 すべての鍵を試してはいるが、そちらは把握しただけでまた利用していなかった。

「たしか、これだったよな──不正使用者にスライムが襲い掛かるヤツ」

 事前に魔力の波長を登録した者以外が利用すると、鍵を差す際に必要となる魔力を吸引して生成陣を起動──鍵に仕込まれた魔核からスライムが復活し、侵入者を襲う。

 まあ、服を溶かすとか人の穴を狙う……とか大人向けのスライムではない。
 ただただ、物理無効でドレイン効果の高いスライムが延々と襲ってくるだけだ。

 今回の場合、テスト用の錠前を閉める前に魔力を登録しておけば問題ない。
 ……がしかし、今回はあえてそれをしないで鍵を閉め──再び開けようとする。

「よし、来たな。『SEBAS』」

《仰せのままに──結界での包装を実行、完了しました》

「あとはこれを、出口の鍵穴に近づけて……結界に出口を作るっと」

 俺を襲ってくるスライムだが、結界の中に居る以上何もできない。
 だが、そこに穴ができたなら……まずそこから出て、俺を襲うことにしたのだろう。

 その前に、俺はスライムをその場所に──鍵穴の中に固定するべくある物を使う。
 かつて、それはスライムの中でも最上位の種族だった個体にすら効いたアイテム。

「くらえ、固定粉だ!」

 外部から鍵を持ち込むことはできないが、持ち込んだモノすべてが使えないわけじゃない……対スライム用の強制固定化が可能な粉末を掛けると、スライムはそこで硬直する。

「ふぅ……あとは、ある程度形を鍵穴に合わせて調整すれば──できた!」

 高い器用さに物を言わせ、本物であろう鍵にそっくりな形を創り上げた。
 漫画みたいなやり方だが、スライムならばできる……とそう信じている。

 そして、スライム鍵を鍵穴に差し込んで回すと──ガチャリと音が鳴った。

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