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DIY、今度は開く
探索イベント その04
しおりを挟むイベント世界 チュートリアルの間
新エリアの『鍵の間:初級』に、多くの休人たちが突入していった。
攻略に時間が掛かることは分かっているので、そこは少し待つ。
そして今、俺は──再びチュートリアル用の部屋に戻り、あることを試していた。
「とりあえず、ここは隔離された場所だからな。追跡者も入ってこない、しかも盗聴器やスキルがあっても意味を成さなくなるおまけ付き……助言、ありがとうな」
《お褒めいただき、光栄にございます》
「はいはい。さて、たしか二周目以降はパーティー単位で入ることもできるんだったな。そして、結果として集団専用のエリアを発見することに成功した」
《『団結の間』ですね。情報によると、二人以上で無ければ解除することができない罠などが仕掛けられているようです》
そう、一番の目的はどこかで観ていたであろうジンリの眼の者を回避するため。
単に潜むだけだと、絶対に見つからないという保証が無かったのだ。
しかし、チュートリアル用の部屋は運営が公式に『隔離』と設定している。
少なくとも、パーティーを結成していなければ誰かと情報のやり取りすらできない。
その仕組みは今の俺にとって、大変好ましいものだ。
……何か問題があれば、すぐに鍵を開けて出ていけばいいわけだし。
「二人以上で無いと、か……それでも独りで攻略可能なんだよな?」
《はい。あくまで、二人以上を推奨した部屋となっているようです》
EHOは基本的に、そういった『推奨』はしても『制限』はしてこない。
何をやるにしても、あくまですべてが自己責任となっている。
今回のイベントにしても、ちゃんと強制退場が可能だ。
……誤った場所を選んだ時、ずっと出れなくなるのも問題だからな。
ただし、強制退場を選ぶと一定時間は待機場所に居なければならなくなる。
カウントは[ログイン]中限定なので、その時間を[ログアウト]で潰せはしない。
それでも、自分で難易度を上げる……セルフ縛りと呼ばれるやり方で攻略し、それこそが新エリアの文字通り鍵となるのでは? と考える休人は少なくなかった。
「なあ、『SEBAS』的に、実際新エリアはそれで解放できると思うか?」
《──無いと思います。推奨している内容を無視し、意図して無茶を働いているわけですので。否定はしない、しかし肯定もしないというスタンスなのでしょう》
「ふむ……まあでも、『孤天』がある以上、そういうスタイル自体を否定しているわけでも無いんだろうよ。自分なりの楽しみ方を見出すこと、それは認めているわけだ」
だからこそ、ここに再び来た。
二つ目の目的……新たな手段を見出し、ここから脱出する!
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