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DIY、今度は開く
VSチャイナ娘 その04
しおりを挟む祖父であり、師であるジーヂーが現実から持ち込んだとある武術。
こちらで再現するにも、『プログレス』の力を経由する必要があった。
……そのはずなのに、ナヨの眼前で行われた受け流しの構え。
それはまさに、ジーヂーの編み出した武技“柳流”だった。
現実では自分のできないそれを、さも当然のように使うアンノウン。
そして、それを不要と嘯くその姿に──ナヨの脳は真っ赤に染まる。
「──“鎌斬”!」
アンノウンへ一気に近づき、両腕をクロスした後勢いよく払う。
ただしその腕は極限まで精気によって強化され、鋭利な刃のように尖っている。
現実では、手刀で岩すらも斬ることができる……とジーヂーが語る武技。
EHO内においては、腕に斬撃属性を与えるという効果になっている。
対戦記録を観た限り、一度も使われていない未知の武技。
それならば、隙を見出せる……そう考え、使った武技──だった。
「ふむ……こうですか? ──“鎌斬”」
「!? な、んで……」
無手の相手とぶつかって、絶対に鳴らないはずの金属音。
それは、アンノウンの騙った……語った武技が本物である証明。
「完全ではありませんがね。ええ、腕にエネルギーを注ぐところまでは分かりましたが、短時間ではこれが精一杯です」
アンノウン──ツクルは武技の模倣を、システム的に行っているのではない。
それらはすべて、超高速で行われる解析によって極限まで再現しているだけ。
限りなく本物に近づいたそれを、システムが本物と誤認させている。
故に、解析さえ済めばたとえそれが初見のものであろうと瞬時に再現可能なのだ。
「うぅ……うわぁああああ!」
「……残念ですよ。もう少し、私は貴女と戦いを続けたかった──“生危回壊”」
それは一発のパンチ。
だが拳には精気が籠められ、触れた箇所を一時的に神経から断つ効果を秘めている。
武人であるジーヂーが、長い時を経て編み出した奥義の一つ。
皮肉にもそれが、ナヨを殺す文字通りの必殺技となる……はずだった。
『──喝!』
「「!?」」
どこからともなく届いた怒鳴り声。
それはナヨの意識を覚醒させ、アンノウンのパンチを中止させる。
決闘において、ある意味御法度な横槍。
しかし、アンノウンはそれを待っていたと言わんばかりに笑みを浮かべ──告げる。
「お待ちしておりました。これが敵討ちの決闘であれば、やはり主役は貴方──ジーヂー様ですね。どうぞ、舞台の傍までお近づきください」
「……ふむ、貴殿とまた相対することになるとはな。じゃが、今回は仕方あるまい……まずは、可愛い孫娘を励ますところからじゃ」
「……お爺ちゃん」
そして、ジーヂーはふらふらと近づいてきたナヨの下へ向かい──パチンッと乾いた音が鳴り響く。
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