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DIY、今度は開く

VSチャイナ娘 その02

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 告げられた“地裂脚”。
 聞いたことの無いその名前、しかし……ナヨの体はとっさに反応していた。

「っ……!」

「おや、これを避けましたか」

「……凄い」

 アンノウンによって踏みつけられた地面。
 一度目の衝撃を体内で練り上げ、再度踏みつけることで行われる脚撃。

 蜘蛛の巣状に威力を分散させることなく、指向性を与えられたその一撃は──たった一度で舞台を真っ二つに。

「これを……スキル無しで?」

「武技は用いていませんよ? 純粋に鍛え上げられた体術……とはさすがに言えませんけども。ただ、これだけでは無いことはお約束しましょう」

「また!?」

「足を出したので、今度は手を動かしましょうか──“天閃腕”」

 地面を踏みつける、その動作は同じだ。
 しかし、先ほどとは違う動きによって、体内で増幅したエネルギーを腕へ。

 そして、それを手刀の要領で横へ薙ぐ。
 やることが分かっていれば、比較的避けやすい技だったため、ナヨは最低限──いや、最大限に回避行動を取った。

 地面に這い蹲り、攻撃をやり過ごす。
 もし、そこまでしてなかったら……その結果は、ありありと壁面に刻まれている。

「正解です。首を傾げる程度であれば、そのまま死んでいましたね。これ、ある程度大きさも決められるんですよ」

 刻まれたそれはまるで斬撃。
 ただし、剣のように一点に注がれず、壁を抉り取るように刻まれていた。

 自分がもし、アンノウンの言う通り最小限の動きで避けていれば……ナヨは自身の想像にぞっとする。

 そして、同時に決めた。
 このままでは、何もしないまま……何もできないまま敗北すると。

 ならば前に進むのみ。 
 呼吸を整え、眼前に居る敵を意識し──再び動き出す。

「──『バトルラーニング』!」

「! これはこれは……ええ、ええ、実に面白い──『バトルラーニング』!」

「!? 貴方もだったの!?」

 両者ともに『プログレス』を起動。
 インストールされているのは、戦闘経験を基に最適な動きを取ることができる『バトルラーニング』。

 ナヨはジーヂーから、どうしてもというとき以外での使用を禁じられていた。
 それがこの時だと、覚悟を決めていたところ──相手もまた、それを用いてくる。

「たしか、『グランドマロット』とかいう杖みたいなの使ってたはずなのに!?」

「アレはアレで、歴とした『プログレス』ではありますがね……私個人のものではない、とだけ言っておきましょう」

「コピー系?」

「さて、それは企業秘密です。それよりも、楽しもうではありませんか。同じ力で、どれほどの差が出るのか……ああ、楽しみです」

 共に、積んできた戦闘経験がもろに影響する状態。
 ナヨも、ジーヂーとの鍛錬で経験は積んでいるが……相手はそのジーヂーに勝った者。

 ──だからこそ、自分はさらに上を行かなければならない。

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感想 16

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