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DIY、今度は開く
敵討ち決闘 後篇
しおりを挟む闘技場に観客を集め、俺とジーヂーの孫娘と思われる少女との仇討ち戦を観戦させる。
このとき、【闘資家】のスキルで経験値稼ぎをすることも忘れない。
俺たちに課金することで、攻撃の成功率が上がるようにしてある。
要はクリティカルヒットが出やすくなり、付加効果が発動しやすくなるわけだ。
「──では、あと10秒で事前投金もとい賭けは終了とさせていただきます! ────3、2、1、0! はい、終了です!」
集まった金額を確認し、それらをホログラムとして舞台上で投影。
総額100万、比率は──俺が0.1、彼女が9.9だな。
「なんと手厳しい! ですが、そこから楽しませてこその道化でしょう……ではただいまより、仇討ち決闘を開始しましょう!」
歓声を受け、キョロキョロと辺りを見渡す少女ナヨ。
困惑というほどではないので、そういった経験自体はあるのだろう。
「……これほどの観衆に見守られるのは、初めてですか?」
「う、うん……もっと小さい場所ならあるんだけど」
「貴女のお爺様は、ここと同じ規模の舞台で私と戦いました。それだけの期待を秘め、普段以上の実力を振るい……どうか、私めを打ち倒してください」
上空では10からのカウントダウン。
その数字が減っていくのを見て、少女は何らかの型と思われる動きで構えを取る。
足は半歩前へ。
両手を前に出し、肘を曲げる動作を数回。
拳は完全には握らず、軽く緩め……俺を見定める。
対する俺はただ何もすることなく、ボーっと立っているだけ。
挑発に乗るかもと思ったが、祖父を倒した相手と分かっているからか警戒したまま。
やがて、数字が0になれば、銅鑼を鳴らしたような音が響き──闘いが始まる。
◆ □ ◆ □ ◆
勢いよく地面を蹴りだし、ナヨは目の前の男──アンノウンの下へ。
まずは様子見、だが同時に全力を引き出し強烈な右ストレートを打ち込む。
「!」
「いきなりですか……ええ、とても強いようですね」
「……挙動が、無い?」
「これも、私の隠し種と言うことで」
ジッと観察していたはずだった。
防御、回避、反撃……どれを選ぼうと、その際に生じる挙動を見極め、先手を打つ──後の先を狙っていたナヨ。
しかし、拳が届く寸前、突然動いた手がそれを受け止める。
体はいっさい反応していない、反射的とまで思えるほど自然な形で。
「おや、一発で終わりですか? では、こちらから──」
「くっ、させない!」
拳を引き、今度は左手──と見せかけ、左脚で払う。
しかしそれも、あっさりと跳ねることで無力化される。
必要以上に跳べば隙も生まれるが、アンノウンはそれがごく僅か。
脚が通ったスレスレで跳ね、着地──その掌には球体のようなものが浮かんでおり。
「──“千変宝珠・弾”」
無数の弾丸が、攻撃直後の彼女を襲った。
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