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DIY、今度は開く
布教方法 前篇
しおりを挟む冒険世界 始まりの街
聖職者として、一段上に進んだ。
中級職である【宣教師】は、失名神話(公式認定)の布教に必ず役立つ。
鉄は熱いうちに打て……ということで、まずは一度やってみることに。
とはいえ、布教活動といえば何を……と言われても正直あまり思い浮かばない。
人が居なければ布教はできない、といちおう街に来てみたものの、辺りで布教活動をしているようなことはなく、何かを参考にというわけにもいかなかった。
「あくまで、今はマイナーな宗教と同じ扱いだからな……こっちの世界の住民ですら、今は北欧神話とかギリシア神話を信仰しているみたいだし」
なお、表示は(極槍神)とか(天空神)という形になるようだ。
対する失名神話には名のルビが無く、余計に認識されない。
他が分かっているからこそ、相対的な評価になってしまう。
また、表示されないことで、また別の思惑などを浮かばせることになる。
……名が無いことと、失名神話を結び付けられなくなるのだ。
「俺がやるべきことは、失名神話と名前の無いことに関連性があることを知らしめることだな…………とはいえ、具体的に何をすれば良いのやら」
ビラ配り、マイクパフォーマンスなどある程度は浮かぶが、それがそこまで周知させるために効率的とは思えない。
原人はともかく、休人……特に日本人は本来、無神論者の者が多いからな。
聖職者系の者たちはいちおう『祈る』が、他の者たちはそこまで真摯に祈っていない。
あくまでも、得られる祝福の効果と自身のプレイを加味して求めているだけ。
ならば、休人たちに人気な神様とはいったいどういった神なのだろうか?
「なあ、『SEBA──」
「……見つけた」
「S』……って、ん?」
目の前に居たのは、金髪ポニテな鎧姿の女性……腰には剣を提げている。
いかにも騎士様といった彼女だが、俺を見てわなわなと震えていた。
「……えっと、誰でしたかな?」
「お、覚えていられない!? ……ふふっ、いついかなる時に呼ばれても良いように、常日頃から備えていたというのに」
「…………では、これで私は失礼を」
「──逃がしませんよ? ってアレ!?」
逃げようとする俺を捕まえる女騎士。
しかし、触れた瞬間に死に戻ることで擬似的に透過。
「ええい、神妙に大人しくしろ!」
「なっ……は、『放してください』!」
「!!」
「えっ、あ……なるほど、貴方でしたか」
「~~~~!」
俺を捕まえようとした手は、素直に離された──首に着いた首輪が光って。
そう、彼女はフィーヌ──ルリ教団の女騎士にして、俺の奴隷(仮)だった。
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