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DIY、今度は開く
失名神話 後篇
しおりを挟む神・世界樹。
アイスプルに存在する、宇宙にすら届きうる巨躯を示す大樹。
その樹はありとあらゆるエネルギーに精通しており、神々の持つ神威の源である神気すらも中に蓄えている。
そんな場所ゆえ、神々と交信するための祠として有用していた。
今日もまた、『祈る』ために俺はここを訪れていた。
「創造神様、死神様、獣神様、医療神様、精霊神様、そしてチュートリアルの女神様。あとおまけでプログレス……俺、そして家族の皆々が今日も楽しく生きていけることに──感謝を」
俺にしては珍しく、真摯に眼を閉じてひたすら『祈り』を捧げる。
この世界に神という存在が居なければ、俺のランダムプレイはどうなっていただろう。
少なくとも、ここまで面白おかしく遊ぶこともできず、ジンリの術中に嵌って働かされていたに違いない。
だからこそ、真剣な『祈り』を。
そして、それに応えてくれたのか──神像が仄かに光を放つ。
「これは……」
《旦那様、神像の足元を》
「ん? ……またメッセージか」
創造神様の神像の足元に、神々が使う言語でメッセージが残されていた。
翻訳機を仕込んだサングラスを付けて、すぐにそれを読んでみると……。
「何々──『いつも応援ありがとう。神話の名前は教えられないから、しばらくは君の決めた失名神話を広めておいてほしいな。ついでに、許可も出しておくから僕たちのことを広めてほしい……期待しているよ』だって」
《“職業系統樹”に変化を確認──転職が可能となりました》
「そうか……なら、さっそく就こうか」
事前に枠は一つ空けておいた。
あとは選択するだけで、俺は公認となった失名神話の伝承者になれる。
「じゃあ、やってくれ」
《畏まりました──“職業系統樹”を起動。
職業を【宣教師】に設定……成功しました。職業スキル(神意博来)を獲得しました》
「【宣教師】、か……『宣教師』が居ても、職業はあるんだよな」
《過去に会った者であれば、『学者』も同様に職業と『超越者』が同時に存在します。彼らの場合、特殊な行動ではなくシステム補正の限界を超えての功績が、かつて成されたのでしょう》
特殊な行動、システム補正越え、そして俺のケースでもある神々認定。
どれかによって『超越者』になるのだが、『宣教師』はシステム補正越えなのか。
それが当代の『宣教師』かは別にしても、いつかはそれが成されているわけで。
間違いなくそれは、神々に関する内容……もしかしたら、もしかするかもな。
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