虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
1,686 / 2,853
DIY、広めに向かう

WITH仙王 その18

しおりを挟む


 サボるため、【仙王】は再び力を振るう。
 俺と『闘仙』はそれを阻む悪役、ということになっているみたいだな。

「開け──『ゲートコネクター』!」

「なっ、それは……!」

「えっ? 何かあったの?」

「……こ、これは凄い。『闘仙』さん、これは負けられませんね!」

 俺のやる気に不思議がる『闘仙』だが、これは仕方が無い。
 おそらく、仙術で生み出したであろう大量の武器、それを無数の穴から出したのだ。

 そう、それはまさに某宝物庫。
 仙術そのものじゃないのは、先ほどまで戦闘していた『邪仙霊』対策だったのだろう。

「『SEBAS』、これはもうノリでやらせてもらうぞ──“鍛造錬金・剣”」

《畏まりました。結界を操作、戦闘プログラムを実行します》

 錬産術で出すのは当然剣。
 肉体の方は『SEBAS』にすべて委ね、俺は移動方向の指定と魔道具や術の発動だけイメージすることに。

「うぉおおおおお!」

「……わざわざ捌く必要があるのか?」

「いえ、ノリです」

「そ、そうか──“隆山興”」

 毎度お馴染み『闘仙』の仙術(物理)。
 勢いよく拳を地面に叩きつけると、どういう理屈か地面が天井まで盛り上がった。

 それは自ずと剣から身を護る盾となり、自身(とついでに俺)を守っている。

「しかし……アレはどういう理屈だ? まったく尽きていないではないか」

「おそらく、現在進行形で生成も行っているのでしょう。ええ、まさか贋作の方もやっているなんて……恐ろしい攻撃です」

 天才である【仙王】だ。
 仙丹を溜め込んでいる穴の方で武器を製造し、それをさらにこちらに開いている穴へ繫ぐ……なんてこともできるだろう。

 くっ、どういう理屈か分からないが、少なくとも同じ形状の武器はいくつもあった。
 これは間違いなく、面倒とかそういう理由で構造の複製などもやっているはず!

「この山、いつまで持ちますか?」

「今の単純な攻撃ならば、仙丹を補給すれば無尽蔵に。だが、仙術を撃たれれば即座に破壊されるだろう」

 降り注ぐ武器の雨だが、さすがに『闘仙』の仙丹入りの山をも貫くほどの火力は出ていないようだ。

 それでも、壊れるときは壊れる。
 強力な仙術、もしくは強力な武器でも作れば突破してくるらしい。

「では、私が正面に。その間に『闘仙』さんは、【仙王】さんの下へ」

「それは構わんが……そのままやるのか?」

「? ええ、当然」

「…………そうか」

 まあ、死んでも死なないような奴が、どうして防御をするのだろうか、みたいな疑念があるのかもしれない。

 だがここは、とあるゲームのファンとしてやっておきたいのだ!
 当然、こんなものでは再現も満足できないので……それを上げていく。

「──“神持祈祷:サウザンドエッジ”、そして『インストール:リビングドール』」

 千の刃を生成する『プログレス』、そして無機物を操る『プログレス』を借り受ける。
 それらを(刃虎の加護)で制御し、飛んでくる武器にぶつけていく。

「そう、これですよこれ! さぁ、【仙王】さん、もっと楽しませてください!」

「え、ええ……なんか、楽しんでない?」

「ええ!」

 とりあえず、この戦闘は『SEBAS』が録画してくれているだろう。
 うん、あとで一部は編集して、家族で観ようじゃないか!

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

処理中です...