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DIY、守り攻める
物ノ怪本家 その03
しおりを挟む物ノ怪たちが道を成し、導く先にそびえ立つ巨大なお屋敷。
仄暗い灯りを燈す提灯が飾られ、先へと向かう通路を映し出していた。
屋敷の門を潜ると、物ノ怪たちは瞬時に先ほどまで居た場所から消え去る。
その反応は屋敷の奥、訪れた時から放たれていた存在感の居る部屋に向かっていた。
「ツクルよ……」
「その腕輪を付けている限り、絶対に死なない。どうせ何もしなくても勝手に死ぬような男の命だ、好きに使ってくれ」
「ツクル以外の言であれば、私も遠慮をするのじゃが……するだけ無駄じゃろうな」
「ああ、好きなだけ頼れ。知っての通り、殺されても絶対に生き残るからな」
なんて軽口を叩きながら進んでいくと、やがて巨大な襖の下へ。
イメージ的には、昔テレビで観た将軍の御成りみたいなことをする部屋だ。
違うのは通る俺たちが、将軍という上位のポジションでは無いこと。
そして、頭を下げない代わりに座っている者たちが全員こちらを見ていることだ。
先ほども同じことをされたのだが、圧が先ほどの比ではない。
いちおうでも街中、ある程度制限していたのだろう……そして、その枷が外れた。
「孤魅童子様」
「──うむ、行くぞ」
一歩、また一歩と奥へ。
非常に長い道は、さながら万里の長城のように険しい道と思えるほど。
真っすぐなはずのその道を、確かな足取りで進んでいく。
通り過ぎる物ノ怪の数が百となったとき、目の前の光景が突如切り替わる。
「! これは……」
「父上、母上……」
遥か先、だがその圧が実像よりも彼らを大きくしているのだろう、不思議とその姿は遠くからでもはっきりと見えた。
二本角を生やす巨大な鬼、そして九本の尻尾を生やす狐耳の美女。
コミの言葉を聞かずとも分かった、彼らこそが当主であり彼女の両親なのだろう。
立場を弁え、まずは頭を下げる。
コミと共に正座をし、俺だけが平伏。
いつまでも頭を下げない彼女に、ざわつく周囲……だが、一声で沈まる。
「──我が娘よ、ここを何と心得る?」
「屋敷の部屋、それ以上でもそれ以下でも無いのじゃ。里と本家に上下の関係は無く、あくまでも対等……そういうことのはずじゃ」
「そう、貴女はそれでいいのね?」
「改めて。社の里代表、孤魅童子──お呼びに応じたのじゃ。して、要件とはいかに」
その振る舞いは親子にも、ましてや主従の関係にも見えない。
曰く、隠れ里である社の里は、コミが告げた通りいわゆる自治権があるそうだ。
だからこその振る舞い。
そして、両親も理由もなくそれを怒るようなことは無かった。
──さて、問題はここからだな。
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