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DIY、守り攻める
古代箱庭防衛策 その11
しおりを挟むそもそもの話、俺は決して休人たちを全滅させたいわけじゃない。
あくまでも達成困難、やるにしても徹底した準備が必要と思わせればよかった。
そういう考えがあったからこそ、最初から[シャロウ]には制限を設けている。
……そして同様に、[シャロウ]を休人たちに殺させる気も無いのだ。
《ドローンより煙幕準備──噴射します》
魔力のジャミング効果もある煙を、上空に待機させたドローンから噴き出す。
休人たちはすぐに風魔法などで対応しようとするが、煙はなかなか晴れない。
目晦ましで逃げる、そこに至るのはまあ当然だろう。
定石があるからこそ、意識していない行動に戸惑ってしまう……今がまさにそうだ。
この煙は逃げるためのもの、そこまでは正しい。
だが、その煙が何かを模り始めたことで、彼らもようやく目論見に気づいたようだ。
「でも遅いよな。煙に巻く、なんて言葉があるんだから。煙を纏う、なんて使い方もありだろうよ」
煙は当然、[シャロウ]をも包んでいるのだから、“万物狼転”の対象内。
視界から消えた[シャロウ]は、煙を媒介に大量の狼を創造して行動に移る。
自身の生命力を“狼同躯糧”によって回復し、残った狼を休人に向けた。
意思を持った煙は、休人からさらに意識を奪い取っていく。
そうこうしている間に、[シャロウ]はより距離を取った。
移動中に生みだした狼も、道を阻んだり攪乱のために動いたりと厄介極まる。
《[シャロウ]──回収成功しました》
「よし、念のためにドローンも帰還させてくれ。また、別のドローンで観察をしておいてくれると助かる」
《畏まりました。現在は警戒をしておりますより、高度の方を上げさせていただきますがよろしいでしょうか?》
「その程度、構わないぞ。その分、高倍率にすればいいだけだし」
ドローンは高性能なので、たとえエベレストの上からでも地上の様子を見渡せられる。
今は三百メートル辺りから見ていたようだが、もっと上で見るようだ。
近い方が解析なども上手く行きやすいようなので、離れればそういった作業は進みづらくなるだろう。
先ほど【大将軍】を調べてくれたようなことも、時間が掛かるようになるはずだ。
まあ、しばらくは向こうも警戒を怠らないはずなので、動くこともしないと思うが。
「とりあえず、戦力的な面でも人格的な面でもある程度把握は出来た。この情報を、まずは『代表』に伝えておこう」
《お気をつけてください》
少なくとも、対面しても強引な流れにはならないはずだ。
こちらもこちらで、準備をして接触の機会が無いか探っておかないとな。
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