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DIY、守り攻める
古代箱庭防衛策 その09
しおりを挟む大量の狼たちに襲われる休人たち。
特に、自分たちで放った攻撃から産まれた狼に苦戦している。
一撃で倒すため、相応のエネルギーを供給して放っていた。
その分だけ、強化された狼は木や土から生み出された個体よりも厄介さが目に見える。
攻撃から生まれた狼はエネルギーの塊。
狼の姿をしているものの、あくまで模っているだけに過ぎない。
そのため、その姿を解けば本来の姿である魔法や武技となって対象を攻撃する。
ただし、その相手は[シャロウ]ではなく仲間や放った当人なのだろうが。
「でもまあ、その辺りの対策が即座にできるのはベテランの証拠か。一定距離じゃないと狼にならないのも、すぐにバレたみたいだ」
《“万物狼転”の効果範囲は、[シャロウ]の触れている部分限定。その付近で攻撃を炸裂させることで、対応しているようですね》
「まあ、爆発からも狼は生まれるけど、それでも攻撃で着実にダメージは通っているからな。地道にやれば、勝てるだろう──このままなら、だけど」
攻略方法を彼らなりに見つけ、生命力をすでに三割ほど削っている。
だが、そこで[シャロウ]の行動パターンに変化が起きた。
「おっ、始まったぞ。シンプルだからこそ、面倒だよなぁ……」
何が起きたのか、それはとても分かりやすいだろう。
複数体の狼、それらが衝突し合い数を減らしていく。
それだけ聞けば、自滅とでも思……わないか普通。
ぶつかり合った狼、しかし消滅ではなく起きるのは──融合。
木や土で作られていた狼も、融合していくことでその強度を増していた。
攻撃を弾き、防御を噛み砕き、見た目とは裏腹に凄まじい敏捷力で動き回る。
そして、エネルギーから生まれていた狼たちもまた、融合をしていく。
物質体の狼と融合する個体や、エネルギー体同士で融合したりもしている。
どんな形であれ、その後に現れるのは強力になった個体。
休人たちはそれに対処すべく、職業能力なども繰り出して対応を行う。
「でも、そんなに油断していいのか? そうこうしている間に、[シャロウ]はまた回復しているぞー」
融合、そして還元。
それが、生命力が七割以下になった際に発動する能力“狼同躯糧”。
狼たちが融合している間に、[シャロウ]は産み出した狼を取り込んでいる。
するとどうだろう、一匹取り込むごとに生命力がじわじわ癒えていくではないか。
「俺たちの時は……たしか、全部ショウが切り捨てて捻じ伏せてたんだっけ?」
《回復に利用できる個体は、生成してから一定時間経過した個体に限ります。しかし、その必要時間も生命力の減少度合いに応じて減りますので、後半は旦那様の[アライバー]が無ければ苦戦していたでしょう》
狼は[シャロウ]が存在する限り、無尽蔵に増え続ける。
それらをすべて処理しなければ、この戦いが終わることは無い。
……本当、うちの家族はよくもまあ討伐できたよな。
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