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DIY、多世界と交流する(物理)
多世界バトル後篇 その29
しおりを挟む隠れていればバレない……そう、思っていたんだけどな。
なんというか、天才の目は誤魔化せないというヤツだった。
普通に油断して歩いていたら、掴まってそのまま連行。
現在はその犯人と相対する形で、カフェテラスに座っている。
「──優勝おめでとう、代表。相変わらずわけの分からん勝ち方ではあったがな」
「……どうも」
「つれないな。まあいい、せっかくこうして顔を合わせたんだ、もっと親身に語ってくれてもいいだろう」
「……その気持ち悪い口調、止めないか? タイプじゃないだろ、ジンリとしては」
ジンリ──かつて俺が別のネトゲで代表を務めていた『渡り船』の副代表。
適当な俺と違い、的確な……それこそ支配とも言えるレベルで統率を行っていた。
まあ、支配と言っても強要とかは別にしていなかったからな。
あくまでも、それを必要とした者に適切過ぎるアドバイスをしていただけだ。
そんな彼は外面を引き剥がし、支配者然とした風格を放つ。
……ずっと思っていることだが、コイツがネトゲで副代表やってた理由がサッパリだ。
「──おそらく、代表は俺が副代表に甘んじていたのはなぜかと思っているな」
「……エスパーかよ」
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「旗頭ねぇ……お前のことだから自由はあるだろうな。でも、俺以外の自由がどうなっているのか信じられないな」
「…………」
「さっきのだって、要するに放し飼いをするのと同じだし。どうせこれだって、大して意味が無いって分かっての交渉だろ? もういいだろ、本題に入ってくれ」
ちゃんと時間さえ用意してもらえれば、天才の求めることもどうにか理解できる。
間違いなくコイツは、厄介事を持ち込もうとしている……逃げようかな?
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