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DIY、多世界と交流する(物理)
多世界バトル後篇 その23
しおりを挟む≪赤コーナー、魔法世界より参戦。無差別部門優勝者にして、『真海の主』と称えられし者! 並み居る猛者を倒してきたその実力、まさに天下無双の大魔法士!≫
アナウンスを聞きながら、不思議に思ったことを『SEBAS』に確認する。
なぜ名前を挙げないのか、それは魔法世界において真名は秘するモノだかららしい。
知られるとどうなるのか、まあ悪魔とかではないので完全隷属などでは無いとのこと。
それでもデメリットがいくつかあるため、向こうの世界の著名人は隠すんだとか。
休人はもともと名前なんて有って無いようなものなので、普通に挙げられていたけど。
……不思議なことに、知られ過ぎていた場合にはメリットがあるらしい。
≪青コーナー、冒険世界より参戦。全世界が認めた、まさに最強の強者! できないことなど存在しない、万能無敵のその御方の名は──『騎士王』様!≫
……おっと、また名前を秘している奴が登場した。
そう、参加者としてではなく、無差別部門の優勝者と戦うゲストだった『騎士王』。
その『超越者』としての名前は、密接な世界に響き渡っているようで。
これまでにないほどの大歓声を浴びると、休人用のアピールなのか聖剣を天に構える。
「……凄い『騎士王』感があるな」
《旦那様がかつて、『騎士王』とはどのような存在なのかお伝えした影響かと》
「俺のせいか……って、俺のせいなのか?」
《奥様ともお話をされ、確信も得たのでしょう。こうして、より『騎士王』としての認識が得られる振る舞いを取っているのです》
某英霊システムと似た感じだ。
本来の冒険世界最強たる【冒険勇者】が本領を発揮できなかったのは、その力の根幹が世界と結びついていたから。
同様に、『超越者』たちも他の世界に行けば僅かながらに弱体化される。
それは冒険世界の理である『超越者』の絶対的認識が、他の世界では薄いから。
知られれば知られるほど、少なくとも元居た世界と同程度には力を出せるようになる。
だからこそ、ああいったアピールも決して無駄ではないのだ。
《なお、制限されるのはあくまで権能といった各世界特有のシステム限定であり、レベルや職業などの恩恵は一定のままです》
「俺の場合は『生者』は弱体化するけど、それ以外のもの……異様なレベルとかはそのままなわけだ。ついでに聞くと、【救星者】の方はどうなんだ?」
《アレは【冒険勇者】と同じカテゴリーの、制限がやや緩いものとお考えください。完全解放には『星域』が必要ですが、そうでないのであれば問題ありません》
──なんて会話をしている内に、ついにエキシビションマッチが始まる。
勝つのは優勝者か、それともゲストか……これは見逃せないな。
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