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DIY、多世界と交流する(物理)
多世界バトル後篇 その22
しおりを挟むショウは現在、パーティーメンバーに励まされている最中なんだとか。
……うん、男親である俺が野暮に顔を出すわけにはいかないな。
決勝戦は午後から、当然【冒険勇者】ともう一人勝ち上がってきた参加者の闘いだ。
「ちなみに『SEBAS』、決勝戦の組み合わせはどうなっているんだ?」
《──【冒険勇者】対『真海の主』、となってます。なお、『真海の主』とは魔法世界における『超越者』の一人とお考えください》
「……つまり、冒険世界と魔法世界の最強同士でぶつかり合うってことか?」
《そのようですね。なお、魔法世界にも冒険世界同様に星具はございますが、その使い手ではないようです》
そこだけ見れば、冒険世界の方が有利……いや、逆に言えばそうでなくとも星具の使い手と渡り合える実力者とも言えるな。
あの星剣は対武装持ちにはめっぽう強いのだが、そうではない相手──魔法使いや無手の武人などには実は弱いらしい。
もちろん、『最強化』が無くとも便利な剣だし、そもそもこの大会中は別世界での戦闘だから使えないのだが……相手は別世界版の『超越者』、そう油断はできないだろう。
◆ □ ◆ □ ◆
そんなこんなで始まった決勝戦。
開幕早々、舞台すべてを対象とした大規模な魔法によって観客たちは大盛り上がり。
「これは……水、いや名前の通りなら海水なのか?」
《そのようですね。『真海の主』の名が意味するのは──『魔の海』にして『深き海』、そして『真なる海』の支配者。その操作と生成技術において、魔法世界で並び立つ者はそう多くないのでしょう》
「そりゃあな……水で擬似生命体を作り出して、あんな光景までやるんだ。さぞ、これまでも盛り上がっただろうに」
《これまでは全力を出す相手が居なかったようで、対戦相手の周囲を囲う、もしくは宙を泳ぐ魚型の擬似生命体による特攻のみで勝利しておりました。そのため、これほどのことができるとは……想定外です》
さすがの【冒険勇者】、海を切り裂く斬撃で対応してはいるのだが……その都度、再び大量の海水が降り注いで消失した分が補われていく。
魔力の量が異常なのだが、その絡繰りはどこにあるのやら。
そんなことを考えている内に、だんだんと苦しそうな顔を浮かべる【冒険勇者】。
「あれは?」
《深海の主でもありますので、圧を高めているようです。もちろん、【冒険勇者】も呼吸に関する対策はしてあるでしょうが、権能持ちとは旦那様の知っての通り、常識の通じぬ存在ゆえに》
「……耐性の無効化、もしくは耐性や無効系のスキル以上の効果なのかもな。いずれにせよ、冒険世界ならともかく、異世界じゃこれが限界か……『プログレス』、使ってくれればいいけど」
権能持ちは、どの世界でも『プログレス』の使用ができないのが定め。
しかし【冒険勇者】は、まだ自身のリソースを割いた能力には手を付けていない。
つまり、まだ成長する余地がある。
それをどう使うかは【冒険勇者】次第……どうなるのかな、この先は?
こうして、決勝戦は幕を閉じ──エキシビションマッチの組み合わせが決まった。
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