1,583 / 2,853
DIY、多世界と交流する(物理)
多世界バトル後篇 その16
しおりを挟む翌日、ショウが先日の少女といっしょに行動する姿を目撃する。
声を掛けようと思って近づいたら、まさかの発見……大人(ら)しく引き下がったよ。
「ショウのフラグ回収能力は、ルリ譲りの超高性能だな。俺にも……いや、やっぱり無くて正解だったか」
ルリと出会い、オンゲー上でさまざまなトラブルに巻き込まれていた過去。
そしてオフ会を行った以降、それはルリ関係のことに限り現実にも及んでいったのだ。
俺自身が凡人である以上、その原因とも呼ぶべき存在は間違いなく彼女。
なのに、自分でフラグ回収の力に目覚めでもしたら……ロクなことにならないな。
「まっ、ショウがどんな人生を歩んでも、応援するのが父親としての役割だよな。ふむ、もしハーレムだった時のためにも、今の内から考えておいた方がいいのかな?」
《──旦那様》
「はっ! ……そ、そうだな。やっぱり、こういうことは──」
《こちらですでに、いくつかシミュレートしたシチュエーションがあるのですが。よろしければ、お試しになりますか?》
「『SEBAS』……! さすが万能執事のAIだ! よし、やるぞ、やってやろう!」
なんてバカな会話をしている内に、三回戦が幕を開く。
昨日の個室へ向かい、撮影機材を準備……これは前からやっていたぞ。
「設営完了っと。さて、今日はどんな戦いになるのかな?」
なお、この大会には【冒険勇者】も参加しているので、一筋縄ではいかない。
他にも各世界の猛者たちも出ているだろうし、いっさい油断はできないだろう。
それでも父として、息子の活躍を見て撮ることこそが最重要案件だ。
他の試合もドローンで撮影しているが、しれは後回しである。
人数も減り、三回戦で行う試合数は四回。
一試合ごとの密度が高まっているので、試合時間そのものは長くなっているが、大して待たずにショウの番となった。
「ショウの相手は……っと、マジか」
金色の虎耳を生やしたイケメン。
歓声を上げるのは同様にケモ耳を生やしたり、また頭部が動物そのものな人々。
彼こそが『覇獸』──現【獣王】の夫にして、『超越者』が一人。
俺とも縁を持つ彼が、なぜかこの無差別部門に参加していた。
「いやまあ、【獣王】の方だったら納得だったんだが……逆に参加して無いんだよな?」
《はい。予選から姿は確認されておらず、目撃情報はございません》
「何かあったのかもな……ポーションでもそのうち、届けておこうか」
共にある意味、俺という知人を持つ二人。
先に一言二言話した後に、アナウンスの合図で戦いを始めた。
正直、どっちが勝つか不明だな……さて、どんな結果になるのやら。
0
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。

愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる