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DIY、多世界と交流する(物理)
多世界バトル後篇 その11
しおりを挟むショウ、マイ、ルリが活動する冒険世界。
その特徴は無い……というか、器用貧乏にいろんなことができることが特徴らしい。
さまざまなシステムに制限がある代わり、頑張ればどんなことでも一定域までやり遂げることができる。
何かに特化していない代わりに、あらゆる分野に手を伸ばせる……それが冒険世界の特徴と呼べるのだろう。
「特化したものが無くても、ショウはああして無双しているからな……冒険世界が広く浅いってルールでも、圧倒できるのか」
《各世界の法則は、基盤となるシステムにそれぞれで調整を行うことで成り立っているもの。決して、手を加えていないからダメというわけではないのです》
「まあ、『騎士王』ほどではないにしても、ああして複数の要素を組み合わせて戦う姿はカッコいいよな。それこそ、冒険をしている感じで充実している」
ショウは【剣星】に就き、そう呼ばれているが決して剣に特化しているわけじゃない。
基本的に剣を使い、剣を使いづらい状況ならその都度持ち得る手段を使っている。
魔法で距離を稼いだり、アイテムで時間を稼いだり……知り合いに作ってもらったという装備品で、あえて攻撃を受け止めてから、剣を振るうなんてこともしていた。
冒険世界で活動する休人は、総じてそのような戦い方である。
使えるものは何でも使い、勝つために己が矜持に見合うやり方で戦っていた。
「『プログレス』に関しては……大きな差異は見受けられないな。まあ、その世界に適した能力にはなりやすいと思うけど。これはどういう理屈なんだ?」
《『プログレス』の原点、通称メカドラは冒険世界オリジナルの代物ではありません。それを模した『プログレス』もまた、あらゆる世界に適した装置となります》
「? 神代の産物だってのはなんとなく覚えているが……って、うぉおおお!」
話の途中だったが、俺は席を立ち上がり突然歓声に沸く。
そりゃそうだ、なんせ決まったからな──
≪予選終了! 現在、舞台に立つ六十四人の皆さんこそ、無差別部門の本選進出者だ!≫
当然だが、ショウもまたその中に含まれており、予選を見事突破している。
ああ、めでたい……実にめでたい、今日はお祝いにしようか?
「ああでも、ショウはショウで自分の仲間たちとやりたいこともあるか。優勝以外で、そういうときに邪魔するわけにもいかないか」
ルリにもそんな感じのことを言われた。
家でもこっちでも会える俺たちよりも、こちらでしか会えない人たちとの時間を大切にした方がいいと。
……いやまあ、ショウ自身の話によると、知り合いが多かったらしいけど。
それでも、そうじゃない者もいるみたいなので、実際にそうした方がいいのだろう。
──そんなわけで、俺の超豪華パーティー計画は中止となるのだった。
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