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DIY、多世界と交流する(物理)
多世界バトル前篇 その20
しおりを挟むそれからの俺は死にまくった。
だがその死因は『死を愛す者』によって記載され、考察材料が増えていく。
魔法自体は、どれも初歩中の初歩。
低性能でありながら、なぜかそれが体内で発生するため抗うことなく死んでしまう。
本来、それは非常に高度なことだ。
なぜなら人は、無意識的に体内へ干渉する魔法を拒絶しているから。
隠しステータスである『MIN』、魔力防御と呼ばれる数値がそれを高めている。
それだけでなく、魔力が多い者は身体強化と同じ要領で保護膜を張っているらしい。
そんなこんなで、内部から魔法などで相手に攻撃するのは非常に難しいのだ。
それを可能とするのは、圧倒的な差……もしくは特殊な能力だろう。
「……抵抗を無効化、もしくは何らかの形で通すことができる能力でしょうか」
「仕掛けを言うわけないじゃない」
「ええ、構いませんよ。それに、そろそろ始める予定でした──“神持祈祷:サウザンドエッジ”」
「なっ……!?」
祈りを天に、神に捧げると、いつにもなく光が差し込むという演出が発生する。
まあ、いいかと思いながら求めた能力を起動──大量の剣が地面から生えた。
突然の変化に驚く対戦相手、だが俺は冷静に『バトルラーニング』に身を委ねる。
大量の刃を認識すると、体は近くのそれを拾い上げて投擲を開始。
とっさに魔法で防御を始めるが……この舞台に生えたのは千本の刃。
投擲の動きも完璧なので、曲射で防壁を越えて攻撃している。
そうなると、自分を包む殻のように防御するしかなくなるが……そうなれば、脱出することは不可能。
「終わりです──“神持祈祷:マジカルロジカル”」
「なん、で──」
「なるほど、魔力に関する事象の判定を弄れる能力ですか。では、武器に魔力を流し込んでおけば使えますね……ダメージ判定は魔力にしました。どうぞ、耐えてくださいね」
俺の体を破壊しながら、連続剣戟で一気に彼女の魔力を削っていく。
これは彼女の『プログレス』、ダメージ計算などを改竄できる能力だ。
今までの殺し方は簡単、魔法のダメージ判定を運の数値による減衰で通す。
他の人でも大して上げていない数値で魔力抵抗を計算され、あっさりと通ったわけだ。
厄介なのはこの際、無意識の魔力抵抗の方もいっしょに計算に入ってしまう点。
なので数値で負けてしまうと、完全に魔法が通り──ああなっていたわけだ。
俺が使う場合、初期化された状態なので大した改竄はできない。
せいぜい減らす数値を、生命力ではなく魔力にしただけだ。
だが、『貧弱な武力』と『闘匠』を発動して、確実にダメージを与えれるようにした。
どんどん攻撃すれば、その分だけ彼女も魔力を減らすことになる。
抵抗しようにも、その魔力すら今は使えなくなる……やがて魔力が枯渇し、気絶した彼女から俺は勝利を得るのだった。
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