1,511 / 2,733
DIY、多世界と交流する(物理)
多世界バトル前篇 その04
しおりを挟む休人たちが挙って集まり、我先にと受付に吶喊している。
速ければいいわけではないが、先に済ませておけば後の準備も早めにできるだろう。
受付周辺に集まる人々の目的は、大きく分けて三つ。
一つは登録、そして残り二つは観察と傍観である。
誰が登録をするのか、それを知ろうとする者たちも少し離れた場所で見ているのだ。
そして傍観者たち……うん、これは単にやることが無くて見ているだけだな。
「さて、行こうか──『ゴーストボディ』をインストール」
物理無効、障害通過の『プログレス』。
その力で休人たちの塊に入り込み、奥へ奥へと進んでいく。
なお、だからと言って真っすぐに行けるわけではない。
休人の中には、霊体に攻撃を通す武器を持つ者もいるからだ。
銀製、聖別された武器、そして聖具……。
それらは物理攻撃が効かないはずの霊体だろうと、容赦なく攻撃を通す。
前二つはそれでも、鞘に納めていれば無効化できる……が、聖具は存在そのものが聖気の塊なので、通常時で干渉が可能だ。
某王様の剣ほどの聖剣でなければ、休人でも打ち上げることができる。
なので聖具という名前から、それらを求める者も少なくない。
《聖具及び干渉可能な武具を検索──非接触ルートを構築します》
そんなわけで、『SEBAS』の力を借りながらどうにか厄介な武器を避けての移動。
正確には聖職者も厄介なのだが……単独で参加するこのイベントは難しいからな。
「──登録を、お願いします」
「畏まりました。では、こちらに手を──ありがとうございます。以降の登録は、皆さんの[メニュー]から行えます。明日までに必要な情報をご登録ください」
一人ひとりに掛けている時間がさして無いのだろう。
俺としても都合が良かったので、さっさとこの場から離れて登録を始める。
「名前は非公開でもいいと……タクマの言う通り、それだと報酬が減るのか」
《検証データによると、アイテムには変化は無いようです。あくまで順位に応じたサービスが、受けられなくなるとのこと》
「ああ、こっちでも確認できた。あのホテルとか、それ以外でもいい施設を使えるようになるわけだ……本当に強いヤツが優遇されている場所なんだな」
《イベント限定での評価は受けることができませんが、旦那様の闘技場での評価はそちらとは別で統計が行われます。こちらは休人・原人問わず、実力さえあれば偽名での参加でもサービスが受けられます》
原人たちもこのイベントに参加できるか、ここには原人が多く住んでいる。
そのほとんどが武人、そして戦う術を有する者たち……休人よりも強いヤツばかりだ。
彼らが今はその優遇されるべき地位に居るので、俺たちはそれを奪うために闘う。
果たして、勝てるかどうか……休人の限界が試されるな。
「まあ、彼らが参加するのは主に無差別部門だけだから関係ないんだけどさ。登録するのは基礎縛りと特殊生産部門っと……名前に関してはどうするかなぁ」
改めて考えるが、なかなか答えは浮かばない……明日までに決めないとな。
0
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる