虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
1,509 / 2,814
DIY、多世界と交流する(物理)

多世界バトル前篇 その02

しおりを挟む


 大陸といってもかなり小さいのだが、それでも内包する闘技場は異様にデカい。
 ドローンで計測してもらったところ、総面積は……だいたいディズニーと同じようだ。

 あっ、ランドでもシーでもなくて、まさかのワールドと同じらしい。
 つまり122万平方キロメートル、ランドが239個もあるような広さだ。

「……巨人族でも楽しめるってか? そういえば、見たことが無いよな」

《巨人族の成人個体ともなれば、竜族同様に人化が可能となりますので。旦那様はすでに巨人族の者と邂逅を経験しておりますが、接点も無かったためお伝えしませんでした》

「いつの間に……まあ、いちいち人の種族を詮索するのはプライバシーに反するか。俺も死なないからってどのアンデッドだ? とか聞かれたら嫌な気分になるし」

 まあ実際、死にまくっているのであながち否定はできないけど。
 実は[称号]にも、その気になればシステム判定をアンデッドにできるものがあるし。

「しかし……闘技場の外で何かを売るってのは定番だけども、まさか街ごと全部この中に入れてあるのか。闘技場都市とか、そういうレベルじゃないよな、これ」

《これもまた、独自性を出すための運営による戦略の一種でしょう》

「そりゃあな。まあ、スタジアムで飲食をするための物を買うのは定番だが、ここなら魔道具でも買えるし、宿泊施設に泊まることもできるのか……いやはや、闘技場って寝るための場所だったっけ?」

 スポーツのスタジアムでも、場内販売でいろいろと売っている場所があるけど……この闘技場内では、巨大な建物としてさまざまな施設が用意されている。

 それは旧来の闘技場では考えられない物も含まれており、なぜかタワーホテルのような物もうっすら視界に入っていた。

「……これ、どういうことだ?」

《この闘技場では独自の制度が構築されているようです。強者であれば、それだけ優遇される……旦那様の視認されたホテル、その上位ルームは一定の勝利成績を持つ者のみが泊ることのできる環境のようです》

「……天空の闘技場じゃないんだから」

 マスタークラスでもあるのだろうか? そう訊ねると、本当に存在するようで。
 チャンピオン、マスター、キング……と強いとランクが与えられるらしい。

《なお、旦那様の持つ『天』の称号。その継承戦が行われるのもこちらとなります》

「……えっ、何それ?」

《保持者と同等の成績を別の休人が出した場合、継承戦の連絡が入ります。どのような内容であれ、それはここで行われます》

「……今まで一回も無かったよな?」

 俺が持つのは生産の『巧天』、原人交流の『冒天』、支配数の『統天』、そして死亡数の『死天』……その下に『匠』が存在する。

 ちなみにだが、『匠』の方は抜かれる前に警告が出た後は勝手に継承されるらしい。
 あくまでも、『天』の継承だけが派手に行われるそうだ。

 ──まあ、[ヘルプ]に載っているだけで一度も行われたことがないらしいけどな。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

【完結】会いたいあなたはどこにもいない

野村にれ
恋愛
私の家族は反乱で殺され、私も処刑された。 そして私は家族の罪を暴いた貴族の娘として再び生まれた。 これは足りない罪を償えという意味なのか。 私の会いたいあなたはもうどこにもいないのに。 それでも償いのために生きている。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

処理中です...