虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
1,505 / 2,821
DIY、多世界と交流する(物理)

バトルイベント予告 前篇

しおりを挟む


「……この流れもだいぶ慣れてきたな」

「まあ、仕事中に話すとそっちに集中しちまいそうだしな。俺が何を言いたいのかは、もう分かっているんだろう?」

 タクマに誘われ、今回はファミレスへ。
 ……酒を入れるとEHOに支障が出るし、ドリンクバーで充分だからだ。

「こういうときは、イベントなんだろう? アレからだいぶ時間も経った……はずなんだよな。あんまり実感が湧かないんだが、まあそうなんだろうな」

「お前は毎度、濃厚な日々を過ごしていそうだからな……正直、イベントじゃ満足できないんじゃないか?」

「たしかに……最近なんて、間近で【勇者】と【魔王】の決闘を見たからな。おまけに二回戦は【勇者】対俺」

「……毎度毎度、本当に凄いな。【勇者】の出現情報なんて、マジで価値が高いぞ」

 あの世界の【勇者】様は、長距離の転移を自在に行う力を持っているらしい。
 その力で文字通り、世界中の問題を解決しているんだとか。

「まあ、その話は良いとして。今回のイベントはどういうものなんだ?」

「ふっ、よくぞ聞いたな。前回は総合的なモノだったからな。今回はもっと単純に──闘技大会だ!」

「……あっ、そ」

「お前、参加しないのは分かるけど……そこまでローテンションになるなよ」

 説明しよう、闘技大会には必ず結界が用いられる。
 内部で死亡した場合、強制的に送還されるという……つい最近見たヤツだ。

 なので、別に内部で即死するから意味が無いとかそういう理由ではない。
 それに対応した結界を周囲に纏えば、気にする必要は無いので。

「当日はハイテンションになるぞ? 息子と娘たちの晴れ舞台なんだしな」

「お前でも、制限有りの部門ならいい戦いになるんじゃないか?」

「それもそうなんだがな……まあ、当日の予定次第かな? 俺自身が戦わなくてもいいなら、参加してもいいけど」

「どんな条件だよ」

 笑っているタクマではあるが、俺は内心本気で考えていた。
 やっていることはバリバリで違法だが、それなら子供たちの活躍を見ていられる。

 何より、違法だがそれを成し得たのはすべて合法によるもの……ならば、ある意味セーフなんじゃないかと思っていた。

 この辺は後ほど、『SEBAS』と共に考えてみようと思う。

「仮に参加するとして、名前を晒されると不味いな……ジンリが動くだろ」

「ああ……名前はたしか、非公開設定にしておけば問題ないらしい。ああいうのは、目立つと困る場合もあるからな。その代わり、最後まで非公開だと貰えない物もあるらしいから、基本的にはみんな公開しているぞ」

「なるほど、自分から公開したくなるように誘導しているのか……まあ、さっきも言ったが方針次第だな。参加できるようなら、俺も参加してみるよ」

 ドリンクバーで淹れたコーラを飲み、しばらくして帰宅の途に着く。
 ……ログインしたら、あっちでもジュースが飲むことにしよう。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。 怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。 最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。 その要因は手に持つ箱。 ゲーム、Anotherfantasia 体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。 「このゲームがなんぼのもんよ!!!」 怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。 「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」 ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。 それは、翠の想像を上回った。 「これが………ゲーム………?」 現実離れした世界観。 でも、確かに感じるのは現実だった。 初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。 楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。 【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】 翠は、柔らかく笑うのだった。

欲望が満たされなくなった天使は化け物へと変貌する

僧侶A
ファンタジー
大学に通うために田舎から都会にやってきたペトロは、ひったくりに遭遇した。 田舎で鍛えた脚力を活かし、ペトロは犯人無事に捕らえることが出来た。 それで一件落着かと思いきや、ひったくりを少しでも足止めしようとした女性が突然化け物へと変貌した。 その理由は、大事な爪が割れてしまったから。 完結まで毎日投稿します。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

処理中です...