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DIY、強者の宴に混ざる
強者の宴 その14
しおりを挟む隠し権能の存在は、すぐに公表された。
人によっては悪用できるものになる可能性もあるし、本人が気づいていないだけで爆弾のように待機している可能性もあるからだ。
お陰様で、極数人ではあるが権能の解析を実行してくれた者も。
全員知人な辺り、信頼と信用って大事だなと実感しました。
「ふぅ……ここにも夜は来るんだな」
パーティーは昼から行われ、もう間もなく終了となる予定だ。
会場である宮殿を抜け、テラスから眺めるのは何もない真っ暗な夜空。
ここは二人の『超越者』が生みだした異界なため、星の光は存在しない。
再現することも不可能ではないが、それには二人の協力が必須となるだろう。
「話を持ち掛けてみるのも、いいかもしれません。そう思いませんか──【魔王】様」
「何の話かは分からんが、何事もやらぬよりはやってみるのが吉だぞ我が友」
気配などはいっさい掴めなかったが、俺の代わりに『SEBAS』が見つけていた。
なのでさも当然のように振る舞い、現れた【魔王】へと声を掛ける。
「正式に招かれたわけではないでしょうに。いったいどのようにして?」
「人族とて一枚岩ではない。我はその一つに力を貸しているだけのこと。何、我が友と違いすぐに切れるような薄い縁だ」
「そうですか……いえ、そちらにはさして興味はございません。生存競争にそうした裏があるのも、知性ある生物の必然ですし。それよりも、このタイミングで顔を出されたことに驚いています」
「そうか? いやなに、我が友に挨拶をせぬまま帰るのも忍びないだろう」
ありのまま、すべて本気で語っていた。
それが何を意味するのか、そこも重々承知しているだろう。
「誓い通り、我が友の親族を傷つけることは無い。無論、因果の果てに相まみえることがあれば別だが……こちらから意図して挑むことは無いだろう。そのうえで、我らは我らの意を主張し続ける」
「支援は行いますよ。求められれば応え、望まれれば与える。人族にも魔族にも、私は私の世界が楽園であれば構いません」
カツカツと足音が鳴り響く。
それは俺のものでも【魔王】のものでもない、第三者が鳴らすもの。
「はっははは! では、いずれ我も友の楽園とやらを拝みに行きたいな!」
「ええ、しがらみが無くなればぜひ。彼女も貴方様が来訪する時を、心待ちにしておりますので」
「むぅ、難儀なことを言う。だが、いずれは果たそう。そのためには──降りかかる火の粉を叩くことから始めようではないか」
現れたソレが握り締めるのは、神々しい力の奔流を凝縮した一振りの剣。
同等の力を帯びた鎧を身に纏い、いっさい隙の無い動きでこの場に現れた。
言葉を交わしたことは無い。
だが一方的に、その名だけは知っていた。
友である【魔王】の天敵、魔を払い世界に希望をもたらす存在。
──【勇者】と呼ばれる者だった。
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