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DIY、お祭りを満喫する
聖獣祭終篇 その20
しおりを挟む夕刻、俺たち祭りの参加者は南区画の入り口に集まっていた。
……正確には、聖獣様の力でほぼ強制的に排出されたんだけど。
事前に出店などは閉店になっていたし、森獣たちへの挑戦はそもそも昨日で終了だ。
そんなこんなで、転移された参加者たちが全員この場に揃っている。
用意された壇上で、守護獣と【獣王】たち王族が並んで立っていた。
『我ら守護獣と獣人たちの盟約は、今年もまた果たされた! 少々のトラブルで始まりは遅れたが、こうして何事も無く閉幕を迎えられたことを聖獣様は喜ばれておる!』
守護獣を代表して、声をより遠くに届けることができる告鳥がそう叫ぶ。
なお、聖獣様は条件を満たした人しか会えないルールが、ここでも適応されるそうだ。
『また、それ以外の祭りを訪れた者たちも、祭りを楽しんでくれていただろか! 私の試練は難しかったであろう? 加護を得た者は私の指の数もおらんからな!』
……ああ、あの後も全然増えなかったか。
極めて難易度の高い試練なため、どうやら長く続いた祭りの中でも、六人以下しか達成できなかったようだ。
『中央区には数多くの者が来訪した! 訪れられなかった者も、来年こそはとぜひ挑んでもらいたい! 今年はめでたく、なんと聖獣様に謁見された者もいる! 来年は、我こそはと思う者が訪れることを期待している!』
ちなみに、ここで俺を壇上に上げることも予定に入っていたらしい。
が、さすがに嫌なので、[ログアウト]で消えるぞと脅して無しにしてもらった。
主役が変なタイミングでいなくなるのもアレということで、無事にキャンセルとなる。
……それに、レベル999とか虚弱とかバレると困ることが多いからな。
「──諸君、俺は強者を求めている。特に獣人、俺に勝てば【獣王】はテメェのものだ。始まる前にも言ったが、加護はどれだけあっても困らねぇ。実際、加護持ちの中には俺を楽しませてくれた奴もたくさんいた」
告鳥に代わって、【獣王】が前に出て話し始める。
休人の中には、彼女が王だと知らなかったからかひどく驚いている人もちらほら。
武闘派なうさ耳女王というのも、なかなかレアだからな。
言っていることが一から十まで、戦いに繋がることしか言ってないし。
「これで祭りはお開きだ。だが、この祭りで得た物は無くならねぇ。この座が欲しい奴はいつでも来い! 祭りと違って、俺への挑戦は条件を満たせば年中大歓迎だ!」
盛り上がる獣人たち、彼らもまた戦いを好き好んでいるわけだ。
そうして盛り上がった雰囲気のまま、祭りは幕を閉じるのだった。
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