1,444 / 2,831
DIY、お祭りを満喫する
聖獣祭終篇 その14
しおりを挟む強化された怪獣……ならぬ界獣。
その姿、そして聖獣様からのヒントから察するに、加護に似たナニカが与えられた結果なのだろう。
もともと神が用意した模造品。
本来の[スノウエスト]ではない以上、可能性はあった……偽りの存在を生み出すのであれば、いったい何を基に創り上げるのか。
「災凶種に必要な要素を神の力で補っていたからこそ、その在り様を歪めることでこのようにできるわけですか。そして、注ぐ量と質に変化を加えることで、それまでとは異なる力を発揮させることができる」
それこそが模造品の正体。
集めているのであろう過去の情報、そして神の力で複製しているのだ……まあ、これに関する考察はまた別の機会に。
今、俺が気にすべきはそれらを構築するために必要となる核となる部分。
サイズが大きくなったことで、その反応は強くなっている。
《神気による変化ですが、それらは内部の核から行われています。『擬似神核』、ありとあらゆる概念に対応することができるため、精霊であろうと獣の姿であろうと運用することができるのでしょう》
これまでは精霊の姿に同化していたので、そのエネルギーも感じ取りづらかった。
しかし、変化したことでその差異から判明したのだ。
「つまり、弱点は……」
《核のある場所を画面に表示します。その場所に当てられれば、死の因果が確実に発動すると思われます》
「なら、そこを狙うしかありませんね!」
搭乗する機体[アライバー]を動かし、改めて[スノウエスト]に挑む。
獣となった姿の大きさは全長約二十メートルとのこと、ダンプカーよりも大きい。
俺の[アライバー]はそれには及ばず、こちらは約十メートルと言ったところ。
倍以上ある巨躯から振るわれる猛撃を、機体の自動操縦に委ねて躱してく。
その間、俺は『SEBAS』が表示してくれた核の場所を確認。
心臓があると思わしき位置に、核が置かれていることが分かった。
「全力全開です──『セットウェポン:斬首の死刀』!」
腕部の『プログレス』が生みだす、武器の生成能力の対象を変更。
地中から無限に生え出すその刀は、首を刎ねる概念を帯びた妖刀。
それらを仕向けると、[スノウエスト]は対処に追われる。
獣であるからこそ、首を刎ねたら死んでしまう……精霊では突けなかった攻撃だ。
「──“フルドライブ”!」
そして、脚部の『プログレス』が有していた加速補正、それを十倍まで高めることができる能力を起動。
元より十倍の補正がさらに十倍され、計百倍の加速を得られる。
いきなりな上に、別のことに意識を向けていた[スノウエスト]は間に合わない。
「これで終わりです──『アームチェンジ:デッドタナトス』、“ソウルハント”」
あとは腕部の能力を切り替え、生みだした死神の鎌を振るうだけ。
正確にそれは、核となる部分だけを貫いたのだった。
0
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

てめぇの所為だよ
章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる