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DIY、お祭りを満喫する
聖獣祭後篇 その18
しおりを挟む『でね、そのアドラムはね……』
「ふむふむ、そうですか。そのようなことがあったのですか……」
『そうそう! それでね……』
「なるほど、そうですか。そのようなことがあったのですね……」
同じような問答を繰り返し、幼い森獣の伝えたいことを聞き取る。
他の森獣の名前などを知る新鮮な機会だったが、それ以上に森獣のストレスを感じた。
いろいろと溜まっているのだろう。
自分を貫くということは、すなわち他の阻む物に真っ向から立ち向かうということ……だいぶ対抗しているみたいだからな。
『──ねぇ、聞いてるの?』
「お友達と、とても仲がいいのですね」
『……もう、全然聞いてないじゃん。いったい話のどこを訊けば、僕とアイツらが仲良しになるのさ』
「そうして意識を向けられているから、ですね。大人の世界において、好意の反対は悪意ではありません……無関心です。意識を向けるということは、それだけの価値があるとその方を認めているのですよ」
正論を告げても、森獣は不服そうな表情を浮かべている。
まあ、そんなことは分かっていた……なので、俺なりにプレゼントを贈った。
「──『プログレス』。こちらの物について何かご存じですか?」
『う、うん……立派な大人になるまでは、絶対に使っちゃダメだって』
「そうですね。未発達な状態で用いると、将来本当に必要な力の発現を阻害するということですので。ですが、よろしければこちらをプレゼントしましょう」
『本当!? これがあれば、アイツらを見返してやれるんだよ!』
見返してやりたい、そう考えている辺りがやはり子供だ。
だが、そんな子供に細やかな助言をするのも、先達である大人の仕事だろう。
『それじゃあそれを──』
「ですが、条件がございます。そちらを飲んでいただけましたら、差し上げましょう」
『何々? 許可も加護も、欲しいならあげるけど……』
「いえ、それに関してはまた別の機会に。条件とは、貴方の覚悟を見せていただくこと。力に頼る子供ではなく、力を扱うことができる大人の資格があると、証明していただきたいのです」
その内容を告げると、とても苦しそうな表情になった幼き森獣。
正確には嫌そうなんだが……まあ、それはいいとして。
「よろしいですか? 問題があるのでしたらこの話は、やはり無かったことに……」
『……ううん、やる。僕の力を、みんなに見せつけるんだ』
「結構。でしたら、さっそく向かいましょうか……まずはここから出ましょう」
『分かった』
そんなこんなで、俺たちは場所を変える。
そしてそれは、中央区の真ん中──聖獣様へ至るための道だ。
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