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DIY、お祭りを満喫する
聖獣祭後篇 その12
しおりを挟むあのとき、『告鳥』が何をしようとしたのか……軽い攻撃である。
名の通り声が良く響く種族なので、それを活かした攻撃──音響爆弾だ。
あれが聞こえた範囲はアウト圏内で、喰らえばアウトという寸法である。
なのでどうにか逃げ切り、その先にあったゴール地点へ飛び込んだ。
「ぷはぁ! ……ふぅ、どうだ?」
『──やるじゃないか、普人……いや、休人よ。よくぞ私の試験を超えた!』
空から舞い降りてきたのは、小鳥だった。
おそらく、参加者がまだいるのであくまで分体を遣わしたのだろう。
「ありがとうございます。あの、ところでですが、その違いが分かるのですか?」
『ん? ああ、聴けば分かるとも』
聴く、つまり音に関する何かで調べられたわけだ。
もし視られていれば、普段の設定的に死んでいたが……音は想定外だった。
[組み込んでおきましょう]
《頼んだ》
警戒してか、骨伝導ではなくUI経由で俺にメッセージを送る『SEBAS』。
普段はそちらだが、聴覚系で秀でた能力がある相手に油断するわけにはいかない。
「そうでしたか。それで、この区画での試練についてですが……」
『そうだったな。まさか、あそこまで妨害に優れたアイテムを持っているとは。お陰で乗じようとした他の参加者も、分体で捕えなければならなくなった』
「これもまた、立派な作戦ですので」
『それにやられた私が悪い。あれも立派な作戦の一つ、つまり文句なしのクリアだ』
ケチ……というか正当な異議を申し立てられる可能性もあったが、どうやら心の広い森獣だったようだ。
『では、まずは許可。そして加護を与えようか──受け取れ』
二枚の羽が降って来る。
スッと体内に取り込まれると、それらはステータスに反映された。
「ありがとうございます」
『加護の効果は索敵範囲の拡大、および隠形の看破成功率向上。あとは、それを知らせる際の強化幅が上がるぞ』
「なんと、そのような効果が。たしかに、これだけの効果であれば、あのように難しい試練であっても致し方ありませんね」
『ふっ、分かるか? 現に、まだ加護を受け取れたものは指の数もおらん』
鳥の足なので、数は両足を入れても六……本当に限られているな。
だがまあ、有用過ぎる効果なのは事実、それは『SEBAS』も認めている。
『ふむ……残る許可はあと二つか。聖獣様に会うべく、励むがよい』
「ありがとうございます、必ずやその期待に応えるべく精進いたします」
中央はあとにするとして、問題の緑鹿が待つ南の区画。
覚悟を決める時が来たのだ……さぁ、行こうじゃないか。
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