虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
1,365 / 2,826
DIY、騒動に混ざる

竜の里 その16

しおりを挟む


 竜族の大人VS子供によって行われる、迷宮攻略大会。
 俺は暫定的な迷宮の管理者として、その説明を公平に行う。

「これより皆さんには、大人と子供に分かれて迷宮に挑んでもらいます。迷宮内部に関しては、まったく同じものを用意しておりますのでご安心を」

「……本当か?」

「では、私もこれに関しては神竜様に誓いを立てましょう。迷宮は公平、まったく同じ構造となっております」

 この言葉を伝えれば、竜族たちは何も言わなくなる……うん、そこは子供も同じ、要は大人の意見を全面的に否定しているわけではないのだ。

「では、改めて。内部での攻略ですが、単純に核のある最下層へ辿り着く速度だけではなく、魔物の討伐数なども計測しております。そうして数値化したポイントが、多い方が今回の勝者となります」

「『生者』殿、どのような行動が高い評価を頂けるのか?」

「残念ながら、それは秘密です。ただし、迷宮を一定時間内に攻略できない場合、秒単位で減点を行います。ですので迷宮に籠もり、できることすべてを行う、という考えはお控えください」

「ふむ……覚えておこう」

 粘られても無駄に時間を使うだけなので、そこはシンプルに強制しておいた。
 どこまで攻略と踏破を同時に行うのか、これが勝負所だ。

「では、迷宮のご説明をしましょう。迷宮は五階層、魔物や罠、宝箱などは予め配置しております。階層ごとに異なるフィールドが用意されており、最下層である五階層には守護者が待っています」

 迷宮の内部構造を載せたホログラムを、この場に投影する。
 これを見て即座の踏破をするでもいいし、攻略を行うために使うでもいい。

 だが、そのホログラムには所々黒い部分が存在する。

「こちらが迷宮の地図です。ただし、見ての通り一部は詳細が分かりません。迷宮の踏破には直接繋がりませんが、もしかしたら高得点になり得るものがあるかもしれませんね」

「「…………」」

「では、間もなく迷宮を開通します。両チームとも、準備をお願いします」

 迷宮は入り口を塞いでいた。
 これは通行を拒むためだけではなく、従魔や魔法による侵入を防ぐためでもある。

 迷宮は完全に入り口を抑えていると、その間のあらゆる干渉を拒絶できるのだ。
 まあ、迷宮の耐久度を超えた干渉(物理)ならできるけどな。

 なんてことを考えている間に、両チームの準備が整ったようだ。

「──準備ができたようですね。それでは、攻略開始です!」

 壁が取り払われたその瞬間、子供も大人も迷宮に殺到する。
 ……さて、勝つのはいったいどちらになるのだろうか。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

私はいけにえ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」  ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。  私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。 ****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

World of Fantasia

神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。 世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。 圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。 そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。 現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。 2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。 世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...