虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、騒動に混ざる

大量発生後日談 その07

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 過去の原人が手に入れ、その死と共に失われたユニークアイテム。
 壊れても時間経過で修復され、由来となった存在の力を秘めた、文字通り固有の逸品。

 そんな貴重な品を、どういうわけか三つも得てしまった俺。
 その内の二つはもう確認した……そして最後の一つを、その手に取る。

「錠前型のこれ、なんだか蝶のデザインがある気がするんだが……蝶型の魔物だったってことなのか?」

《──『幻牢錠[ヒュプリズム]』。対象に掛けられた幻惑の効果を、半永久的に引き延ばすことができるという代物です》

「それは……なんというか、使うときを選びそうなアイテムだな。ただまあ、ずっと使うことができるなんて効果には、相応の代償があるんじゃないか?」

《発動条件は旦那様が対象に錠前と共に触れること、そして継続条件は常に魔力の最大値から一割を消費し続けることです。どうやら過去の持ち主は、莫大な魔力を有していたようですね》

 ユニークアイテムは、ある程度討伐者に合わせた状態でドロップする。
 ショウなら剣による接近戦に関する、さまざまな補助を行う形にな。

 俺の場合、アイテムがすべて加工できる素材状態で落ちる……といった感じだ。
 だが、これはあくまで故人の物、今さら俺に最適合などしない。

「俺の魔力は、いちおうカンストしているくせにそこまで多くないからな……装備で多少補えても、あんまりだし」

 これまでまったく説明していなかったが、装備には身・能力値への補正が入ることも。
 まあ、俺の場合、魔力と器用さ以外の補正はゼロなんだけどな。

「さて、とりあえず確認しておきたい物は全部確認し終わったな。後は……そうだな、とりあえずレベリングを始めよう」

《畏まりました》

 箱から出た職業【試験職】。
 ありとあらゆるスキルへの適性を得る代わりに、いっさいレベルが上がらず補正も無いというネタ職。

 だが経験値自体は得ることができるので、それを“職業強化”に注ぐことで擬似的な成長を促すことができる。

「ついでだ、アレを届ける間にレベリングをしてみよう。『SEBAS』、何をしたらこの職業は経験値を得られるんだ?」

《スキルを使用する、それが主な経験値の獲得方法です。戦闘でも生産でも、そこにスキルが関わっているのであれば、問題なく経験値が得られます。先ほどの鑑定で、すでに確認は取れております》

「なるほど。その経験値で強化できる物は何かあったか?」

《……限定的なスキル適正率の向上、などが可能です。しかし、旦那様の場合は……》

 まあ、適正が上がっても、得られない縛りなので仕方ないか。
 とりあえず今は貯蓄して、俺でも役に立つ能力を強化していこう。

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