上 下
1,343 / 2,721
DIY、騒動に混ざる

大量発生後日談 その04

しおりを挟む


 黒色の輝きと共に箱の中から現れたのは、本来価値を定められないような品々。
 一つの箱に一つずつ、いろんなものが収められていた。

「まあ、一番無難なのは職業水晶か……これは俺でも使えるのか?」

《【救星者】の“職業系統樹”との互換性を確認。使用することで、ツリーが解放されるようです》

「職業名は【試験職テストジョブ】……うんまあ、読んで字のごとくだな」

 アイテムの説明を見てみるが、そこには何も記されていない。
 使うことで【試験職】に就ける、その程度のことしか。

「『SEBAS』、これの情報は?」

《この世界由来の職業ではないため、拡張情報にも載っておりません。完全に運営が用意した過去の職業を、こちらに転用しているように思われます》

「……俺の場合は強制固定化されても解除できるからいいけど、他の人は嫌でも一定期間は外せないからな。ある意味、運試しってことなのか」

 というわけで、さっそく利用する。
 すぐに【救星者】に組み込まれたという旨の通知が届くので、“職業系統樹”を介して転職を行う。

《職業スキル(試験専用)を獲得しました。レベルは1で固定、補正値は0です》

「……とんでもない職業だな。で、そのスキルの効果は?」

《…………。ありとあらゆるスキルや技への適性が手に入ります。ただし性能は初期状態のまま、いっさい変動しません》

「まさに試験運用のための職業ってわけだ。これを利用する利点、俺にあるか?」

 まあ、全部のスキルへの適性というのも気になりはするが。
 そもそも俺は意図してスキルを得ることができないので、あんまり意味が無いのだ。

 最近は『プログレス』の能力が職業スキルに反応する場合もあるが、それでもそんなに多くは無いからな。

《ございます。まず、レベルは1で固定されていますが、経験値自体の獲得は可能となっております》

「ふむ、つまり強化が可能だと?」

 経験値を注ぐことで、職業スキルの性能を高めることができる“職業強化”。
 スキルの常時発動は必要経験値が尋常じゃないが……うん、これはいけるな。

 詰まるところ、経験値を注ぎやすいのだ。

《初期状態からのレベル向上、適正の向上などございます。また、隠された能力を発現させることが可能です》

「隠された能力……か」

《改めてEHO関係者の情報を改めると、この職業に関する情報が記載されていました。効果は不明ですが、レベルが上がらないからこそとネタ的に仕込んだようです》

「……面白いな、それ。うん、いずれそれを発現させることを目標にしようか」

 補正が0なところも、俺としてはどうでもいいので問題ない。
 ……が、今は先に他のアイテムを調べていかないとな。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

処理中です...