上 下
1,332 / 2,791
DIY、騒動に混ざる

大量発生イベント その13

しおりを挟む


 そんなこんなで、始まったコンテスト。
 次々とエントリーナンバーと休人名、そしてスライムたちの名前が呼ばれる。

 名付けている者とそうでない者が居るようだが、無い場合は色で呼ばれていた。
 ともあれ、順番にスライムたちが舞台に挙がってはアピールを行っている。

「マイの出番は……まだまだ後だな。だいぶ時間が空くのは、やっぱり参加者が多すぎるからか。こういうのって、いろんな場所で予選をするべきだったんじゃ?」

「これでもだいぶ絞ってあるんだぞ。これは本予選、前予選で万が百になっているんだから結構なもんだろ」

「……むしろ、そんなに参加してたのか? プレイ数が多いのも理由になるか」

「そこがマザーAIというか、EHOの凄い所らしいからな。全プレイヤーを同一のサーバーで遊ばせますよって……説明書にも、書いてあっただろうに」

 俺もルリも、そういうのは見ないタイプだからな。
 いちおう[ヘルプ]などは確認するが、外で見ることはあまりしないのだ。

「まあいいや……そんな百人の選ばれた参加者の中から、どうやってマイが一番に選ばれることになるんだ?」

「……お前ってヤツはなぁ。まあいいか、いちいち分ける必要も無いから、そのまま百人全員で決勝戦だ。それぞれ審査員のポイントと参加者のポイント、それらの合計で選ぶことになっているな」

「うん、要するにマイが満点評価で優勝するわけだな」

「…………お前、本当に親バカだな」

 タクマが急に俺を褒めだした。
 まあ、褒めても何も出ないのにな……そういえばいいツマミもあるし、観戦中に食わせてやろうじゃないか。

「……急に出してきたな、いやまあ貰うけども。というか、これって……マジか!?」

「ん? ビールだが、何か問題が? お前はビール派だったと思うんだが……もしかして種類まで注文するのか?」

「いや、別にそこはどうでもいいんだが……なんで出来てんだよ!?」

 なぜ、と言われても……そもそも冒険世界では、ビールはすでに作られている。
 問題はその味が、現実に比べてやや劣っているということ。

 酒造りが得意なドワーフなども居るが、そちらは味というよりも酒精特化だしな。
 さて、そんなビールを俺が作れた理由……それは、俺にも分からない。

 だいぶ前、ハイで作業をしていた頃にもう出来ていたからな。
 初期も初期、:DIY:を使った数が十回も行く前にその装置は完成していた。

「──でまあ、それを解析したうえで改良したのが飲料自動生成機だ。お陰でそのエナドリが切れなくてな、似たような感じで暴走したことが……って、もうマイが来た!」

「おい、もう少しその話を……いや、もう無理だな。よし、俺も応援するぞ!」

 何か言っていたようだが、タクマもマイの応援を始める。
 ビール片手に応援する俺たちって……なんだか目立ちそうだな。

 ──マイに派手に応援してほしくないと言われたし、ちゃんと結界で囲っておくか。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“  瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  だが、死亡する原因には不可解な点が…  数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、 神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。 怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。 最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。 その要因は手に持つ箱。 ゲーム、Anotherfantasia 体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。 「このゲームがなんぼのもんよ!!!」 怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。 「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」 ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。 それは、翠の想像を上回った。 「これが………ゲーム………?」 現実離れした世界観。 でも、確かに感じるのは現実だった。 初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。 楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。 【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】 翠は、柔らかく笑うのだった。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...