1,215 / 2,721
DIY、三つの街
支配者会談 その13
しおりを挟む
詫び更新中(2/2)
===============================
「……封印か」
「ええ、壊してしまっては何度でも用意されてしまう。ならば、こうして閉じ込めてしまえば……こうなるわけです」
箱の名は『蔽塞の小箱』。
かつてレムリア世界において、強者を封印するために用いられた品である。
解除方法が死だけというピーキーな箱で、それ以外は俺がどうにかしないといけない。
今回の場合、解除には持ち主の【情報王】が死なないといけないわけで……。
「この戦いが終わるまで、解放されることはないと思ってくださいね」
「……お前は俺の天敵だ。どれだけ手管を暴こうと、それ以上の手札を伏せている。視ることのできる情報は、本来雑魚のもの。しかし、それでもこの場に立っている」
「偶然ですよ……ええ、それこそ【情報王】さんの執念には敵いませんよ」
神代魔道具の中に居るというのに、外の世界である冒険世界のことまできっちりと調べ上げている。
秘境はともかく、休人の居る場所でやったことに関してはすべて収集されていた。
休人しか居なかったはずの、イベントにまで……本当に、とことん集めている。
「貴方の職業【情報王】は、敵を知り己を知る職業です。知れば知るほど相手の優位に立ち、知り得る情報の中から勝つための最適解が用意される。何よりも恐ろしいのは──不完全な情報による再現」
「……どこまで知っている」
「私と貴方は、ある意味似ています。他者の力を見て学び、そのうえで個を主張する。情報による力を得て、己のモノとして使う……ほら、似ているでしょう?」
能力名は“情報再現”。
既知の情報であれば対価を支払うことで、ありとあらゆる事象を再現可能なこの能力。
とはいえ、決して完璧なものではない。
どれだけ再現性が高くとも、それを使う本人が耐えられなければ本人と同等になることは決してありえないからだ。
「だからこそ、足りないモノをまた別の要素で補っているんですよね? たとえば体が追い付かない『拳王』の動きであれば、魔力による身体強化。その魔力が足りないのであれば、また別の存在を……と頑張りますね」
「…………。情報さえあれば、人はどこまでも強くなれる。武器、スキル、技術、文化、敵対者の行動パターン……それらすべてが、これまでの過去から紡がれてきた」
「そうですね、そして忌避される情報はすべて封じられます。貴方の行いは、危険すぎるのです。さて、互いに情報はある程度集めています。そろそろ展開してある目玉は、処理が終わります──死んでもらいましょう」
「チッ、いいだろう──“情報再現”」
ついに切り札を使う【情報王】。
俺もまた、『SEBAS』に命じて結界を動かして再現を行う。
「「──『騎士王』」」
うん、俺も【情報王】も求める最強の形は同じなのである。
===============================
「……封印か」
「ええ、壊してしまっては何度でも用意されてしまう。ならば、こうして閉じ込めてしまえば……こうなるわけです」
箱の名は『蔽塞の小箱』。
かつてレムリア世界において、強者を封印するために用いられた品である。
解除方法が死だけというピーキーな箱で、それ以外は俺がどうにかしないといけない。
今回の場合、解除には持ち主の【情報王】が死なないといけないわけで……。
「この戦いが終わるまで、解放されることはないと思ってくださいね」
「……お前は俺の天敵だ。どれだけ手管を暴こうと、それ以上の手札を伏せている。視ることのできる情報は、本来雑魚のもの。しかし、それでもこの場に立っている」
「偶然ですよ……ええ、それこそ【情報王】さんの執念には敵いませんよ」
神代魔道具の中に居るというのに、外の世界である冒険世界のことまできっちりと調べ上げている。
秘境はともかく、休人の居る場所でやったことに関してはすべて収集されていた。
休人しか居なかったはずの、イベントにまで……本当に、とことん集めている。
「貴方の職業【情報王】は、敵を知り己を知る職業です。知れば知るほど相手の優位に立ち、知り得る情報の中から勝つための最適解が用意される。何よりも恐ろしいのは──不完全な情報による再現」
「……どこまで知っている」
「私と貴方は、ある意味似ています。他者の力を見て学び、そのうえで個を主張する。情報による力を得て、己のモノとして使う……ほら、似ているでしょう?」
能力名は“情報再現”。
既知の情報であれば対価を支払うことで、ありとあらゆる事象を再現可能なこの能力。
とはいえ、決して完璧なものではない。
どれだけ再現性が高くとも、それを使う本人が耐えられなければ本人と同等になることは決してありえないからだ。
「だからこそ、足りないモノをまた別の要素で補っているんですよね? たとえば体が追い付かない『拳王』の動きであれば、魔力による身体強化。その魔力が足りないのであれば、また別の存在を……と頑張りますね」
「…………。情報さえあれば、人はどこまでも強くなれる。武器、スキル、技術、文化、敵対者の行動パターン……それらすべてが、これまでの過去から紡がれてきた」
「そうですね、そして忌避される情報はすべて封じられます。貴方の行いは、危険すぎるのです。さて、互いに情報はある程度集めています。そろそろ展開してある目玉は、処理が終わります──死んでもらいましょう」
「チッ、いいだろう──“情報再現”」
ついに切り札を使う【情報王】。
俺もまた、『SEBAS』に命じて結界を動かして再現を行う。
「「──『騎士王』」」
うん、俺も【情報王】も求める最強の形は同じなのである。
10
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる