上 下
1,214 / 2,721
DIY、三つの街

支配者会談 その12

しおりを挟む
詫び更新中(1/2)
===============================


 魔力の義手で『プライベートアイ』を破壊し続けているが、その数は全然減らない。

「閃光眼、炎熱眼、紫電眼、氷結眼……おまけに転移眼と時環眼ですか。なんとも厄介な魔眼のオンパレードですね」

「魔眼の知識があるのだな」

 ちなみに鑑定眼というステータスを強引に覗く物も浮かんでいるが、そちらはだいぶ前に作ったカウンター魔道具『深返の淵視鏡』によって無効化されている。

 開示される情報は鑑定の種類によって異なるが、鑑定眼は最上位に近い開示度。
 お陰で【情報王】のステータスが、それ以上の隠蔽によって隠されていると分かった。

「休人の多くは魔眼に興味津々ですので。さて、そろそろこちらも本格的に魔眼の処理に入りましょうか──『乱射の雨矢』」

 一本の矢を空に投げれば、それは数千数万という数になって降り注ぐ。
 自立型の『プライベートアイ』はそれをよけようとするが、いかんせん数が多い。

 となれば選ぶのは対処。
 自身の眼球に仕込まれた魔眼の力を解き放ち、矢の迎撃に当たる。

 それはつまり、視界に空を収めるということだ──そして、空には次の仕掛けが。

「──『万照の陽光』」

 目を潰す光量で、天から輝きが放たれる。
 消してしまえば再起動される、ならばそれ以外の方法で一時的にでも潰す。

 目という感覚器官を介している以上、それらには明確な弱点が存在する。
 全部の『プライベートアイ』の視界を捉えて、強引な目潰しが行われた。

「チッ……また使えばいいだけのこと」

「【情報王】さん、あなたは今視界を保っていますか?」

「…………」

「瞬時に切ろうと、矢の処理に視界を向けていたはずです。そして、複数の視界から膨大な量の光を浴びた」

 だがそれ以上に、念入りな準備が彼に隙を見せないでいる。
 当たり前だが、【情報王】には思考強化などの情報処理に関するスキルが存在した。

 それらによって別の感覚器官、また新たな『プライベートアイ』で場を把握する。
 人が情報の九割を視覚から得るとしても、別の部分で補うことが可能なのだ。

「聴覚、嗅覚、味覚、触覚、そして魔力器官など、方法は無数にあります。視覚を潰したからと言って、油断はできないことは重々承知していますが……目で捉えていなければ、分からない物もございます」

 取りだしたのは小さな箱。
 休人の[ストレージ]は魔力を介さない権能染みた概念なので、視覚が一時的に使えない【情報王】では把握不可だ。

 維持していた『ワンダーハンド』は、箱を出してから少しやり口を変えた。
 破壊していた『プライベートアイ』を、一つずつ着実に箱に誘導していく。

 箱はただ、その空虚な穴を開けるだけ。
 すると勝手に近づいてきた球体が、その内部へと取り込まれていく。

 それに気づいたのだろう、【情報王】が一瞬ピクリと反応する。
 破壊じゃなく、封印ならと思ったが……どうやら成功したようだな。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

処理中です...