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DIY、三つの街

支配者交渉 その06

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「あとは……これでよしっと」

 一度も相対していない【非業商人】への挨拶を済ませたことで、暗躍街と闇厄街を支配する者たちへの接触がすべて終わった。

 これで全員への連絡手段を確保できた、と言っても過言ではない。
 ある者には連絡用の魔道具を、またある者には『プログレス』を渡してあるからだ。

 管理者権限を行使すれば、誰にでも連絡することができる。
 ……まあ、これは『プログレス』の能力的に可能な、いわゆる仕様ではあるが。

「まずはこれで連絡を取って、既読スルーをしたら直接会いに行く。こっちには座標と転移があるんだから、逃げられないぞ」

 機械技術と魔道具技術、二つを用いて仕込まれた座標発信システム。
 それらが異なる形で、俺に彼らの居場所を教えてくれる。

 必要な時以外は回路自体繋がっておらず、かといって不要な回路でもない。
 これを妨害できるのは『機械皇』と万能な『騎士王』ぐらいだ。

 まあ、前者はロロを通じてだから手を出せないし、後者は拒否する理由がない。
 結局のところ、俺が知る範囲で細工をする者はいないのだ。

「おっと、いきなり来たか……【情報王】、やっぱり乗ってきたな。『SEBAS』の言う通りだ」

《【情報王】には自信と自負、そして今回の計画に対する決意がございます。それらを阻む者を一掃できる、そんな機会を逃すことはありません》

「殺すことはできなくても、一時的に干渉不可能な状態にはできるからな。うん、だからこその文面だな」

 美辞麗句を並べたビジネスメールを返してきたのだが、翻訳すると──邪魔をするな、これに尽きる。

 霊子変換室での騒動は把握して、そのうえで叩きつけた挑戦状みたいなものだ。
 少々怒りやすい【情報王】なので、当然こういう反応になる。

「うんうん、こっちの世界の人は返信も早いな。『賭博』、『拳王』、【暗殺王】……了承してくれてよかったな」

 英雄様は最初から受け入れてくれており、先ほど【奴隷王】と【非業商人】にも約束を取り付けた。

 文明の利器とは、こういう点が素早く済ませられるので便利なのだ。
 あとは舞台の準備をするだけで、彼らを集める場所を用意できる。

 前回は火口の中でやったので、今回集める場所もそれと同じくらいにしないと。

「『SEBAS』、デザインの方は任せておくぞ。俺にはあんまりセンスが無いからな。前回は自然そのものがデザインだったけど、今回は無機質だし」

《畏まりました。皆さまが満足の行くようなデザインといたしましょう》

 なんて会話をしながら、俺たちは──迷宮へ向かうのだった。

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