1,198 / 2,821
DIY、三つの街
支配者交渉 その03
しおりを挟む※グロ注意です。
💭 🔁 ❤×????
眩しくて、目が覚めた。
「ん……ぅ……」
起き上がる。ここは実家の前。僕は何故か、実家の玄関に倒れていたらしい。
何故? ここで寝入る前、一体何が――
「――――あッ!?」
思い出した!
『呪い』の正体が星狩さんで、僕は星狩さんから逃げようとしているうちに、ここに行きついたんだった。それで、でも、星狩さんに追いつかれて――
ふと、背後に気配を感じた。
振り向くと――
「――ヒッ!?」
星狩さんが立っていた。彼女はスマホを操作して、
『ヒッ、って何。ヒッ、って』
という文を僕に見せてくる。
その表情はいつもの彼女のように、穏やかだ。昨夜感じたあの禍々しさが無い。それに気づけば、あの赤黒いオーラも纏っていない。まるで今まで通りのような――
いや、そんな事よりも!!
「じゅ、余命!! 僕の余命は!?」
ポケットをまさぐる。よかった! スマホはちゃんとある!
震える指でスマホを立ち上げ、Twittooを開く。
果たして――
『🔁 + ❤ = ????』
スマホに新しいヒビが入っていて、余命が分からない!
「あぁ、あぁぁ……」
『ひどいなぁ、私の事を無視するなんて』
視界に星狩さんのスマホが差し込まれた。
「え?」
顔を上げると、星狩さんが恥ずかしそうな顔でスマホに文字を打ち込んでから、
『ね、生まれて初めてのキスの味、どうだった?』
「~~~~ッ!!」
思い、出した。僕は昨夜、星狩さんに、き、き、キキキキスされたんだ!!
「きゅ、急に何だってあんな事――」
味!? 味って何だよ!? そもそも僕には視力以外の霊感は無い。星狩さんの唇の感触なんて、感じられるわけがない。
……いや? 昨日の夜、気絶する前に、わずかに感触を覚えたんじゃなかっただろうか? でも、それも気が動転して勘違いしただけだろう、と思う。
『さぁ、どうしてだろう?』
「ああいうのは、好きな人に対してやるもんやろ!?」
『物部くんは私の事、好きじゃないの?』
「は、はぁっ!?」
『私の事好きだから、いっぱいいっぱい守ってくれてたんじゃないの?』
「いやっ、その! それは――そもそも君は!!」
言い淀んで、星狩さんの顔を直視できなくなり、手癖でスマホをいじる。手が勝手に、ここ数日でルーチンと化した作業を始める――つまり、2年4組のアカウント巡りを、だ。
良かった。みんなまだ生きて――――……
「うっ――…」
『サブカル男子組』の一人、【撮り鉄】寄道くんのアカウントに――――……1分間動画が、上がって、いた。
震える指で、動画を再生する。
『はぁ……はぁ……いいね……いいねを集めないと……』
寄道くんと思しき声がする。わずかな喧噪、チチチ、という雀の声。映っているのは、
「駅のホーム……三ノ宮駅?」
寄道くんは撮り鉄だ。大方、関西でしか見られない車両を撮ってUPして、いいねに変えようとしていたんだろう……そう、『いた』んだろう。
1分間動画がUPされているというのは、そういう事だ。
『き、来た!! 225系統だ!!』
寄道くんの声とともに、身を乗り出すようにして線路に近づく映像。寄道くんがスマホで撮影しているのだろうか。
ファーーーーーンッ!!
『お客様! 危ないですので黄色い線の内側までお下がりください!!』
激しいクラクションの音と、駅員さんの慌てた声。
そして、
『あ…れ……?』
駅のホームに入って来る電車が、不自然なほど真正面から映し出される。
ファーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!
ギギギギギャイーーーンギャリギャリギャリンッ!!
ドカシッゴボッグガガガガガガボガボ!!
ガココココココバキバキバキャキャキャ!!
ガコッガコッガコッガコッグゴゴゴゴゴ!!
グモッチュイーーンボゴゴゴゴゴッ!!
――――ィィィイイイキキキキキキキキキッ!!
急停車した車両と、その前に転がる寄道くんの体が、動画に映し出されている。
跳ね飛ばされたはずのスマホが、不自然なほど高いアングルから、寄道くんの姿を捉えている。
『君、大丈夫――』駅員さんが飛び降りて来て――、『うっ』
――言葉を、失った。
それはそうだろう。
『た、たすけ…く……だ…………』
寄道くんが、ずりずりと匍匐前進をするかのようにして、駅員さんの方へ進もうとする。
『ヒッ……』
けれど逆に、駅員さんは後退る。
『たす……ごぼッ』
大量の血を吐く寄道くん。
駅員さんは駆け寄るでもなく、立ちすくんでいる。
駅のあちこちから悲鳴が上がる。
それは、そうだろう。
だって寄道くんには、下半身が無いんだから。
動画はそこで終わっている。
💭 🔁 ❤×????
眩しくて、目が覚めた。
「ん……ぅ……」
起き上がる。ここは実家の前。僕は何故か、実家の玄関に倒れていたらしい。
何故? ここで寝入る前、一体何が――
「――――あッ!?」
思い出した!
『呪い』の正体が星狩さんで、僕は星狩さんから逃げようとしているうちに、ここに行きついたんだった。それで、でも、星狩さんに追いつかれて――
ふと、背後に気配を感じた。
振り向くと――
「――ヒッ!?」
星狩さんが立っていた。彼女はスマホを操作して、
『ヒッ、って何。ヒッ、って』
という文を僕に見せてくる。
その表情はいつもの彼女のように、穏やかだ。昨夜感じたあの禍々しさが無い。それに気づけば、あの赤黒いオーラも纏っていない。まるで今まで通りのような――
いや、そんな事よりも!!
「じゅ、余命!! 僕の余命は!?」
ポケットをまさぐる。よかった! スマホはちゃんとある!
震える指でスマホを立ち上げ、Twittooを開く。
果たして――
『🔁 + ❤ = ????』
スマホに新しいヒビが入っていて、余命が分からない!
「あぁ、あぁぁ……」
『ひどいなぁ、私の事を無視するなんて』
視界に星狩さんのスマホが差し込まれた。
「え?」
顔を上げると、星狩さんが恥ずかしそうな顔でスマホに文字を打ち込んでから、
『ね、生まれて初めてのキスの味、どうだった?』
「~~~~ッ!!」
思い、出した。僕は昨夜、星狩さんに、き、き、キキキキスされたんだ!!
「きゅ、急に何だってあんな事――」
味!? 味って何だよ!? そもそも僕には視力以外の霊感は無い。星狩さんの唇の感触なんて、感じられるわけがない。
……いや? 昨日の夜、気絶する前に、わずかに感触を覚えたんじゃなかっただろうか? でも、それも気が動転して勘違いしただけだろう、と思う。
『さぁ、どうしてだろう?』
「ああいうのは、好きな人に対してやるもんやろ!?」
『物部くんは私の事、好きじゃないの?』
「は、はぁっ!?」
『私の事好きだから、いっぱいいっぱい守ってくれてたんじゃないの?』
「いやっ、その! それは――そもそも君は!!」
言い淀んで、星狩さんの顔を直視できなくなり、手癖でスマホをいじる。手が勝手に、ここ数日でルーチンと化した作業を始める――つまり、2年4組のアカウント巡りを、だ。
良かった。みんなまだ生きて――――……
「うっ――…」
『サブカル男子組』の一人、【撮り鉄】寄道くんのアカウントに――――……1分間動画が、上がって、いた。
震える指で、動画を再生する。
『はぁ……はぁ……いいね……いいねを集めないと……』
寄道くんと思しき声がする。わずかな喧噪、チチチ、という雀の声。映っているのは、
「駅のホーム……三ノ宮駅?」
寄道くんは撮り鉄だ。大方、関西でしか見られない車両を撮ってUPして、いいねに変えようとしていたんだろう……そう、『いた』んだろう。
1分間動画がUPされているというのは、そういう事だ。
『き、来た!! 225系統だ!!』
寄道くんの声とともに、身を乗り出すようにして線路に近づく映像。寄道くんがスマホで撮影しているのだろうか。
ファーーーーーンッ!!
『お客様! 危ないですので黄色い線の内側までお下がりください!!』
激しいクラクションの音と、駅員さんの慌てた声。
そして、
『あ…れ……?』
駅のホームに入って来る電車が、不自然なほど真正面から映し出される。
ファーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!
ギギギギギャイーーーンギャリギャリギャリンッ!!
ドカシッゴボッグガガガガガガボガボ!!
ガココココココバキバキバキャキャキャ!!
ガコッガコッガコッガコッグゴゴゴゴゴ!!
グモッチュイーーンボゴゴゴゴゴッ!!
――――ィィィイイイキキキキキキキキキッ!!
急停車した車両と、その前に転がる寄道くんの体が、動画に映し出されている。
跳ね飛ばされたはずのスマホが、不自然なほど高いアングルから、寄道くんの姿を捉えている。
『君、大丈夫――』駅員さんが飛び降りて来て――、『うっ』
――言葉を、失った。
それはそうだろう。
『た、たすけ…く……だ…………』
寄道くんが、ずりずりと匍匐前進をするかのようにして、駅員さんの方へ進もうとする。
『ヒッ……』
けれど逆に、駅員さんは後退る。
『たす……ごぼッ』
大量の血を吐く寄道くん。
駅員さんは駆け寄るでもなく、立ちすくんでいる。
駅のあちこちから悲鳴が上がる。
それは、そうだろう。
だって寄道くんには、下半身が無いんだから。
動画はそこで終わっている。
10
お気に入りに追加
647
あなたにおすすめの小説


Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する
こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」
そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。
だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」
窮地に追い込まれたフォーレスト。
だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。
こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。
これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜
まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。
ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。
父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。
それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。
両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。
そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。
そんなお話。
☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。
☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。
☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。
楽しんでいただけると幸いです。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる