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DIY、三つの街
霊子変換室 その04
しおりを挟む「──『旋転波』」
接近した休人を、掌から波動を生み出して吹き飛ばす。
同時に波は周囲にの者たちをも襲い、強制的にスタン状態とする。
「──『地裂脚』」
勢いよく地面を踏みつけ、残った彼らを地割れの中へ落とし込む。
再びこの場から、何も居なくなり……一息吐く余裕ができた。
「どんどん次に行こう」
《畏まりました──誘導を開始します》
「こんにちは、さようなら──『地裂脚』」
だんだんと面倒になっており、いきなり地割れで落とす戦法を取る。
だが、先手で行ったはずの地割れ攻撃……それを風魔法で浮かぶことで対応した。
「おっと、もう対応できるグループになっていましたか──『ヘビーウェポン』」
這い上がってくる休人たちに、用意した武器を落下させてぶつけていく。
術者は二人、重点的に武器を当てることで集中力を奪う。
今回使った『ヘビーウェポン』は、武器の質量を増やすという『プログレス』。
武器使いに多く発現するのだが、これには副次的な効果がある。
質量を増やすということで、それを扱うための調整が行われる──すなわち重力操作。
その指向性を下に向ければ、本来の重力とセットで速度を増し……防御を突き抜ける。
「……というか、同じ奴が来ないようにできないか? よく見たら風魔法の術士、最初のヤツだろ。死に戻りから帰還するだけの時間が、もう経ったわけだ」
「ペナルティ解消のアイテムを、利用したようですね」
「あれか……」
その名を『活性癒液』。
デスペナを一段階分、解除することができる課金アイテム……まあ、イベント報酬として、よく配布されているけど。
レベルが高い奴らは多く使う必要があるのだが、最終的には完全に解消可能だ。
先ほど見つけた彼も、そうして復帰してきたのだろう……報酬が豪華だからな、今回。
「なら──『プログレス:デッドタナトス』セット」
《インストール開始──成功しました》
俺が借りるのは、鎌型の『プログレス』。
名前からも分かると思うが、その効果は死に関するもの……発現者は死霊術師、そのため有用な能力をたくさん持っていた。
「──“ソウルハント”」
鎌を当てた相手の魂を奪い、一時的に鹵獲することができる能力。
傷つけた相手の蘇生や再生を阻害する効果に加え、死に戻りの不可まで発動する。
「加えて『プログレス:サウザンドエッジ』で──“セットウェポン”」
武器を地面に潜ませることができる、そんな『プログレス』を使う。
当然、選ぶ武器は『デッドタナトス』である鎌……俺だけができる組み合わせだな。
──どんどん死んでいけ、休人ども。
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