虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
1,189 / 2,853
DIY、三つの街

霊子変換室 その04

しおりを挟む


「──『旋転波』」

 接近した休人を、掌から波動を生み出して吹き飛ばす。
 同時に波は周囲にの者たちをも襲い、強制的にスタン状態とする。

「──『地裂脚』」

 勢いよく地面を踏みつけ、残った彼らを地割れの中へ落とし込む。
 再びこの場から、何も居なくなり……一息吐く余裕ができた。

「どんどん次に行こう」

《畏まりました──誘導を開始します》

「こんにちは、さようなら──『地裂脚』」

 だんだんと面倒になっており、いきなり地割れで落とす戦法を取る。
 だが、先手で行ったはずの地割れ攻撃……それを風魔法で浮かぶことで対応した。

「おっと、もう対応できるグループになっていましたか──『ヘビーウェポン』」

 這い上がってくる休人たちに、用意した武器を落下させてぶつけていく。
 術者は二人、重点的に武器を当てることで集中力を奪う。

 今回使った『ヘビーウェポン』は、武器の質量を増やすという『プログレス』。
 武器使いに多く発現するのだが、これには副次的な効果がある。

 質量を増やすということで、それを扱うための調整が行われる──すなわち重力操作。
 その指向性を下に向ければ、本来の重力とセットで速度を増し……防御を突き抜ける。

「……というか、同じ奴が来ないようにできないか? よく見たら風魔法の術士、最初のヤツだろ。死に戻りから帰還するだけの時間が、もう経ったわけだ」

「ペナルティ解消のアイテムを、利用したようですね」

「あれか……」

 その名を『活性癒液』。
 デスペナを一段階分、解除することができる課金アイテム……まあ、イベント報酬として、よく配布されているけど。

 レベルが高い奴らは多く使う必要があるのだが、最終的には完全に解消可能だ。
 先ほど見つけた彼も、そうして復帰してきたのだろう……報酬が豪華だからな、今回。

「なら──『プログレス:デッドタナトス』セット」

《インストール開始──成功しました》

 俺が借りるのは、鎌型の『プログレス』。
 名前からも分かると思うが、その効果は死に関するもの……発現者は死霊術師、そのため有用な能力をたくさん持っていた。

「──“ソウルハント”」

 鎌を当てた相手の魂を奪い、一時的に鹵獲することができる能力。
 傷つけた相手の蘇生や再生を阻害する効果に加え、死に戻りの不可まで発動する。

「加えて『プログレス:サウザンドエッジ』で──“セットウェポン”」

 武器を地面に潜ませることができる、そんな『プログレス』を使う。
 当然、選ぶ武器は『デッドタナトス』である鎌……俺だけができる組み合わせだな。

 ──どんどん死んでいけ、休人ども。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

処理中です...