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DIY、三つの街
プログレス配布中篇 その12
しおりを挟むチップを二倍にして、すぐさまアイテムと交換させてもらった。
……ドン引きしている『賭博』が居たような気もするが、気のせいだろう。
裏VIPルームは、本当に価値のある品だけが揃えられた特別な場所だ。
集まる人々も……恰好はともかく、態度や仕草などはとても優雅だったりする。
「人は見た目が九割というが、あそこまで珍妙だと逆にわざとかと思って、信用できなくなるな。その分態度とかで判断するから、全然気にならないのか」
《彼らが身に着けているのは、ユニーク種を討伐した際の特典ですね。特典はユニーク種の姿をデザインとして模すことが多く、少々奇抜になる場合がございます》
「……要するに、見た目よりも性能重視で装備してるってわけか。[シャロウ]並みに異常な能力があるなら、たしかに常時装備しておくことが得策になるわけだ」
壊れても蘇るし、その効果は破格のモノ。
普通なら休人が狩り尽くすはずだが……残念ながらこの世界には、休人以上に強い存在がごまんといる。
その最たる存在たる『超越者』の中には、封印を得意とする者が。
生物すらも封印できるその権能によって、ユニーク種を封じれば……。
「誰でも倒せるんだよな。譲渡不可だから、彼ら自身が本当に倒している……死んでやり直しができる休人より、こっちの奴らの方が肝が据わってるんだよな」
もし『超越者』というシステムがこの世界に無ければ、そりゃあもう休人が無双する世界になっていたかもしれない。
だがEHOという枠組みに入っている世界には、『超越者』が存在している。
絶対に勝てない壁があるからこそ、休人はあまり目立つ行動はとれないのだ。
──ちなみに、まだ『超越者』を倒したという休人は存在しない(『生者』を除く)。
閑話休題
とはいえ、いかにお金持ちでも特典アイテムを集めることはできない。
譲渡不可という決まりがあるし、おまけに倒す際にもっとも貢献しないと入手不可だ。
金を掛ければ固定ダメージを与えるアイテムを手に入れ、少しずつダメージを与えることでいずれ討伐できるだろうが……割に合わないだろうからな。
おまけにそんな倒し方だとあんまりいい性能にならないようだし、あくまで飾りとして一つ持つのが真の金持ちの流儀らしい。
「そんな彼らは情報通なので、全員がもうすでに『プログレス』を移植していた。戦闘で使うかはともかく、だいぶ面白い能力が目覚めている人もいたな」
金持ちも貧乏人も、等しく俺の前では力の糧でしかない……とかなんとか変なことを思いつつ、俺はこの場を去るのだった。
──そろそろ行かないと、見張りの眼が騒がしくなりそうだしな。
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