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DIY、新たな理と共に
プログレス配布前篇 その09
しおりを挟む縁者に『プログレス』を配布する旅。
順番通りというわけではないので、俺のノリで行き先を決めている。
「さて、今回は……っと」
「──あら、今日はどうしたのかしら?」
「プレゼントがあってな。いろいろと実験台になってもらいたくて、ここに来た」
「……堂々と語るようになったわね」
地下深くに眠る次元の異なる世界。
冥界を訪れた俺は、その地を統べる女王の下へ顔を出していた。
直接渡すのは不敬になるので、いちおう家来っぽい人を経由して『プログレス』をいくつか渡しておく。
「……これは?」
「『プログレス』。俺が創った新しい力のシステムで、『超越者』以外のありとあらゆる存在が使える。ここまで言えば、わざわざ知らせに来た理由が分かるだろう?」
「なるほどね、つまりそのうちこれを付けた死者が来るってことね……はぁ、ずいぶんと厄介なことをしてくれたわ」
装備品としても使える『プログレス』なのだが、移植すれば話は別。
完全に肉体へ適合した暁には、死後もその能力を使うことができるのだ。
なお、霊体に直接『プログレス』を移植する方法もとりあえず存在する。
わざわざ実行することも無いだろうが、念には念をという言葉もあるしな。
「まあ、これはまで俺しか知らないシステムだがな。それに、最初から霊体しか無い奴やそういう能力に目覚めないと無理だ。最初は肉体を経由した運用しかできないから」
「……なるほどね、それにしても『超越者』だけを予め対象外にしたのはお手柄ね。アイツらは剥奪されない限り、ここに来ても貴男のように権能が使えるから面倒なのよ」
「『騎士王』なんかが来たら……」
「…………考えたくもないわね」
死後の世界観によって異なる場所に行くとのことだが、決して断絶しているわけではないので世界を股に掛けられる。
分かりやすいたとえだと、この冥界から地獄とかにも行けるし、前に訪れたヴァルハラから天国に行くこともできるのだ。
そしてこの冥界は、死後の世界として統合的な場所になっている。
……少なくとも一度は、ここを経由して行くのが確定していた。
「とりあえず、そっちの言い値でそれは買わせてもらうわ。いくらかしら?」
「お代は結構。その分の情報を、お渡しいただけませんか? そうですね、先に一つお渡ししますので」
「……まあいいわ。それで、どういった情報が欲しいのかしら?」
「──各地下世界に関する情報を。具体的には、その侵入方法でしょうか」
あくまでも、方法である。
そのため『冥王』はあっさりと承諾し、その情報を俺に伝えるのだった。
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