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DIY、新たな理と共に
プログレス配布前篇 その02
しおりを挟む「というわけで、直接渡しに来た」
「……使えぬのにか?」
「まあ、布教用だ。たぶん、『ガウェイン』さんたちも使えないだろうから、一般の騎士たちに使ってやってくれ。俺の商会から卸す予定だから、ぜひ買ってくれよ」
「ふむ……」
いつもの場所で出会った『騎士王』に、製品版の『プログレス』をプレゼントした。
本人は『超越者』なので使用不可能だが、国民の大半は使用可能だろう。
「俺も使えないんだから、我慢してくれ。俺はともかく、お前らみたいなのがさらに力を得たらどうなるかぐらい、分かるだろう?」
「『生者』の発明を試し、私の本質が何なのかを知りたかったのだがな……まあ良い、民の分のプログレスはすべて購入しよう」
「おお……そんなに買うのか?」
「『生者』が命を危険を生む品を提供するはずがない。これは信頼ではなく、これまでの信用によるものだ」
ただ『生者』だからというわけではなく、考えたうえでのご購入だ。
……魔族や『侵略者』との戦いもあるし、戦力増加に必要と言えば必要だしな。
「国家買いには割引が効くから、得はしたと思うぞ。しかも、今ならもれなくこれも付いてくる」
「……これは?」
「罪を犯した者用に、『プログレス』の機能が一時的に使えなくなるアイテムだ。非常に時間が掛かるし、同じ国家に所属していないと使えない品だ。それはブリタンニア用のヤツで、他の国だと通用しないな」
「……非常識な。しかし、たしかに役に立つものだ。使わせてもらうぞ」
王としての『騎士王』は、冷酷に国を統制するために必要なことを考えられる。
新たに制御できない力が生まれ、それを抑えられる品を渡されればこうなるのは当然。
そこで性能を疑わないのは、先ほど彼女が言った通り信用されているからだろう。
あとで説明書を渡すつもりだし、その信用には応えておきたい。
「それで、これから『生者』は何をするつもりなのだ?」
「まあ、とりあえず関係各所に販売のお知らせだな。【魔王】にも売るし、アイツは間違いなく『プログレス』を何らかの方法で使うだろうから気を付けろよ」
「……私もどうにかできないか?」
「無理。俺がパイプになって不可侵協定でも結ぶならともかく、戦いに関しては無茶できない体だからな。俺と【魔王】は互いを殺しきれないから『友』になっただけで、勝つことはどっちもできない」
まあ、最悪成長型ではない『プログレス』として、何らかの能力に固定した品を売るつもりではあるが。
……そんなことしなくて無双できる、それゆえの『騎士王』だからな。
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