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DIY、発明する

古代交渉 その10

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「──『死闘の舞台』」

『なんだ……これは』

「ええ、ええ。理解できないでしょう。これこそが俺とお前の交渉の机。俺が折れない以上、お前が話を聞き入れるまでは決して出られないと思え」

『なんだと……下等生物風情が、この俺をずいぶんと舐めたモノだな!』

 俺が構築した黒い結界が辺りを包み込み、何をしているのか隠したいという俺の深層心理が働いた結果かもしれない。

 その結界を通ることは能わず。
 正確には──生死の狭間に立てぬ者に、渡ること能わずとなっている。

「壊せないだろう? これを壊せるのは、計算できない火力の持ち主だけだ。そしてその限界値は、星を砕く一撃を最低限として設定されているからな」

『なんだと……バカにしているのか!』

「いやいや、そんなわけないだろう? きっと俺たち人族にはできないと思ってくださっている謙虚な上位種様なればこそ、そのお力の一端をぜひとも……と考えた所存でした。しかし──無理みたいでしたね」

『~~~~ッ! 殺すッ!! お前ら、この壁を外部から壊せ!』

 これまで以上にいっそう、壁に掛かる負荷が増大した。
 まあ、外部の皆さまはあまり気乗りしていないようなので、そこまで負担は無いけど。

 サウロポセイドン(型の魔物)が暴れ、結界をどうにか壊そうとしている。
 しかし、『騎士王』や【魔王】といった災厄を想定した結界が壊れるはずもない。

「やれるものならやってみてほしい……そう自慢できるほど、それは固いがな」

『人族風情がぁああ!』

「その人族風情ってやめてくれないか? あまり好ましくはないからな──もうそろそろいいかな? 結界を解く方法は一つ、人族との友和交渉に参加すること。できるな?」

『そんなもの、参加するはずなかろう!』

 結界を壊せなかったサウロポセイドンは、次に俺を殺すことを選ぶ。
 何度も何度も、何度も何度も……配下であるブラキオサウルスが顔を背けるほど。

 殺しに殺し尽くし、サウロポセイドンは脱出を図ろうとする。
 しかし残念なことに、結界は解けないし俺が死ぬことも絶対にない。

「そろそろ、こちらから行くぞ」

『……化け物め』

「何もしなければ、俺はただの人族だった。お前自身の行動が、これからお前を恐怖に叩き落とす使者へ作り替えたんだ」

『なんのことだ』

 こういうこと、と返答する代わりに行動でそれを示す。
 突如として、体をガクッと折り曲げて地面に倒れるサウロポセイドン。

 その足は──三本になっていた。

『~~~~~~ッ!?』

「大丈夫。優秀な薬があるから、あとできっと直してやる……さて、いつまでお前は粘ってくれるかな?」

『ま、待て……そうだ、分かった。話を受け入れてや──』

「真摯さが足りない。こっちでそれを確認できるまで、何度でもやろうか──二本目、頂くぞ」

 それからしばらく、平原には恐竜の悲鳴が響き渡ることに。
 ……なかなか折れなかったので、四本以上折ることになりました。

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