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DIY、発明する
万戯華境 その06
しおりを挟むいかに『超越者』同士の争いが危険か、それを実体験させてもらった。
しかしながら、俺に与えられたクエストはそれを仲裁すること……積んだな。
バグった迷宮の中で『千変』と『万化』の姉妹が争うことで引き起こされる問題を、どうにか食い止めなければならないのに。
「『SEBAS』、特定できたか?」
《あちこちに権能の反応があり、特定はできません。しかしながら、両者を誘き出す方法はございます》
「誘き出すって……まあいいや、それをさっそく教えてくれ」
《畏まりました。力を使っているため、両者の正確な位置を特定できません。それはつまり、今なお両者は魔力を使うようなこと……戦闘を行っています。意識を集中させ、周りへの警戒もしているはずです》
つまり、強烈な照明弾でも撃てばいいということだ。
幸いにして、大量のアイテムを備えているのでできないことはない。
「魔力も使うってなると、道具を使うしかないな……合図、頼めるか?」
《お任せください──今です》
「よっしゃあ──『万照の陽光』!」
それは『死天』が生み出したアイテム。
効果は目が焼き切れるほどの過剰な光を生み出して、そのフィールドに居るすべての存在から視界を奪うというもの。
俺は『SEBAS』謹製のサングラスを装着しているし、双子だって互いの権能を使えばすぐに回復できる。
つまり、これはただの信号でしかない。
この迷宮の中には、自分たち以外にも侵入者が居るという。
「『SEBAS』、どうだ?」
《死亡レーダーの反応、固定。座標位置、登録完了。いつでも飛ぶことができます》
「よし、すぐに飛ぶぞ」
《仰せのままに。空間座標入力、空間転移を開始します》
毎度のことながら、俺のノリに合わせて微妙に台詞を変えてくれる『SEBAS』。
うん、俺のモチベーションが高いのは、やはり『SEBAS』が居るからこそだな。
◆ □ ◆ □ ◆
転移した先、そこではようやく探していた双子を見つけることができた。
瓜二つな少女たち、姿は人形のように愛らしいのだが……瞳が少しだけ特殊。
万華鏡のように光が揺れているらしい。
……そんなものすぐに確認できないので、情報源は『SEBAS』である。
「あれあれ、あのオジさんは誰かな?」
「うんうん、あのオジさんは誰だろう?」
突然現れた俺に気づき、二人は鏡合わせのようなポーズでくっつき……すぐに離れる。
いがみ合ってないところからも、あまり喧嘩の本気度は低いように見受けられた。
「こんにちは、お嬢さん方。私はツクル、この度は『騎士王』様の依頼を受けて、お二方の諍いを止めに来ました」
「「諍い?」」
本人たちが気づいていないのか?
まあ、外の被害について懇切丁寧に説明しておこう。
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