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DIY、発明する
情報屋再訪 前篇
しおりを挟む暗躍街 中立域
「──というわけだ。情報をくれ」
「……いきなり来たと思ったら、全然わけが分からないんだが。というか、この会話を前にした覚えがあるんですけど?」
「そりゃそうだ、分かったうえで空間転移をしてきたんだから」
「……チート野郎が」
情報屋ことタクマのこちらでの職場に赴くと、さっそく話を聞く。
ゲームのことはゲームの中で、特に重要な話は昔からそういうルールに則っている。
「それで、情報ってのは前に依頼したあの件についてか?」
「……あの件?」
「おい、まさか忘れてるのか? 勘弁してくれよ。前払いだから別にこっちは構わねぇけど、そういうのは信用問題に関わるんだぞ」
「ああ、あの件ねあの件。うんうん、分かってる分かってる…………職業だろう?」
話している間にどうにか思い出した。
前回、というさっきの会話が脳を刺激してくれたお陰かな?
迷宮に関する情報を聞いたあと、たしかに職業に関する情報を調べてもらったはずだ。
……まあ、迷宮の方は結局行かないで、別の方法で必要な素材を集めたわけだけど。
「で、職業に関する情報ってどれくらい集められたんだ? ──このタブレット以上の情報だったら、礼は弾むってことで」
「……おい、これはまさか」
「情報ギルドの本部からかっぱらってきた」
「ガチの当たりじゃねぇか……マジで、なんで持ってるんだよ。これを手に入れるため、どれだけ死人が出たと思ってやがる」
なんでも、【情報王】が秘匿しているこのタブレットには大昔の情報が記されているからと、検証班の皆様がどうにかして手に入れられないかと努力していたらしい。
もちろん、【情報王】もタダで渡すわけもなく……条件を出して隷属化したうえで、ほぼロックされている端末を渡したり、侵入者から逆に情報を奪っているそうだ。
「ああ、ちなみにそれなんだが、中のデータは【情報王】が調べたデータと、俺が個人的に集めた情報が入っているぞ。それをお前に売ったら儲かるかな?」
「……そんなレベルじゃねぇぞ、これ。検証班にちらつかせたら、お前に一生仕えるとかそんなことを言いかねない価値がある」
「別に要らないから日頃の礼に全部やる。それに、隠したい部分は最初から入れてない」
「マジかぁ……本当、ランダムでプレイしている奴がどうしてこんなになるんだろうな」
タブレットはすでに複製して解析済み。
ついでに『SEBAS』が情報をロックしてあるので、条件を満たさねば開示されないようにしてもらった。
主な内容は──職業系統樹や魔物の情報、あとは参考までに普人族の必要経験値を信用される程度だが、載せてある。
……俺には全然使いようがない。
なぜなら『SEBAS』という、もっと優秀な相棒がいるのだから。
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