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DIY、家族と共に
家族冒険 その02
しおりを挟む「父さん!」
「お母さん!」
再び、誰という指定が難しい呼び方が噴水広場に木霊する。
やはり、謎の力に作用されるのかその声はくっきりはっきりと俺の耳に届いた。
声が聞こえた方を向けば、そこには美男美女になること間違いなしな子供たちが……感じるのは、自分の場違い感。
「あなた……どうかしたの?」
「いや、みんな顔がイケてるなって」
「……大丈夫よ。私は、あなたを顔で選んだわけじゃないもの」
「それ、遠回しに顔はどうしようもなかったと言っているようなものだからな!?」
隣で同じ光景を見て、俺の言いたいことを察したのだろう……フォローにならないフォローをしてくるルリ。
分かっているさ、そもそも俺みたいな劣等遺伝子が受け継がれないことぐらい。
ゲーム補正もあって、現実よりもなお美に磨きが掛かっているからな。
「……えっと、どうして父さんは落ち込んでいるの?」
「いや、ここまで来るのに本当にいろいろとあったなって」
「たしかに……ずっと思ってたんだ、みんなで冒険したらどうなるかって。だから……嬉しいな、みんなと本当に冒険ができて」
『ショウ!』
感極まる俺とルリ、あと隠しているようだがマイも少々。
うちの息子はずいぶんと真っ直ぐに育ってくれたようで……うん、主人公のようだ。
俺とルリの息子ということもあり、さまざまなトラブルに苛まれたはず……それでも折れず曲がらず、明るく生きてきてくれた。
マイにもそんな時期があったが……それでも、ショウの方がひどかったし。
男と女で、そういう部分に違いがあるのかな……なんて思ったりして。
「それにしても二人とも……ずいぶんとカッコイイ装備だな。あと、なんだか漂う風格が強者のそれ、みたいな感じだし」
「逆にお父さんの方が驚きよ……どうして今回も作業服なの?」
「それがな、マイ。いろいろと試してみたんだが、作業服以上に優れた装備が作れなかったんだよ」
結構便利なんだぞ、と無数に縫い付けられたポケットの中からお菓子を取りだす。
それをマイに渡すと、少し躊躇ってから口に含み……とても美味しそうな顔をする。
ルリとショウもそれを羨ましそうに見ているので、同じく取りだしたお菓子を出してプレゼントしておいた。
「それとな、本当に重大な問題が発覚したんだ──服以外の装備、だいたい重くて装備できないんだ」
『あ~』
重量を軽減させる能力を付与させることもできるが、それだって無重力にすることはできない……なので、攻撃力と筋力がほぼ0な俺には何にもできない。
──そもそも、DIYをしたかった俺に冒険は向いていなかったのだ。
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