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DIY、真・就職活動
ヴァルハラ その14
しおりを挟む三つの試練を終えた。
どれも普通のエインヘリヤルであれば苦戦する相手だったのだろうが、最初から生き残ることしか考えていない俺には簡単だ。
サクサクと敵を消滅させていき、そのすべてを自身の糧にしていった。
……これ、倒した相手は即座に還元されるため、素材が手に入らないのが残念である。
「さぁ、次は誰だ?」
これまではどんどん出てきた魔法陣だったが、今回は待っても待っても出てこない。
「──お待たせしました」
「魔法陣……は、要らないみたいだな」
「はい。試練はこれにて終了です。最後に、我々との戦闘を行っていただきます」
空から直接ここに降り立つ戦乙女たち。
その中には、神託を授かれる人と入り口で会った人が混ざっている。
数は十、だがかなり強い。
世界蛇や神喰狼は無理かもしれないが、二つ目の試練の亡者たちぐらいであれば、彼女たちだけでも突破できただろう。
装備なんかも聖なる力が籠もっているし、そのすべてが聖具と呼ばれる聖剣と同等レベルの装備だし。
今回は対人の動きができる集団だからか、死亡レーダーの警鐘もかなり強めだ。
普通にやれば危険だと、しっかりと理解しているようだ。
「準備はよろしいですか?」
「ああ、正々堂々──頑張ってくれ」
「ご自身はなさる気がないと?」
「じゃあ逆に訊くが──これまでの戦いのどこに、それがあると?」
これまでやってきた戦いにおいて、俺が真面目に倒してきたことなど一度も無い。
そういう風に戦ってきたのだから、そういう判断を観客たちもしていることだろう。
再現だって何かのスキルによる作用、ぐらいの評価を受けているに違いない。
俺はまったく知らないが、世界のどこかには『超越者』の動きを模倣するスキルが……うん、あるはずないな。
「正々堂々ではございませんでした。しかし命懸けで行っておりましたね?」
「そりゃあ死ぬからな。まあ、それなら日常だって命懸けに含まれるんだけど」
「……ずいぶんと余裕なのですね。『生者』様ほどのお方になると、それほどまでに力を得られるのでしょうか?」
「いいや、まったく。これから相見えて分かるとは思うが、俺は基本弱い。殺すこともできる、だが勝利だけは見えてこないはずだ。それをどうするか、分からない限りはお前たちに勝ちは与えられないぞ」
敗北を知りたい、とかそういう理由で相手に塩を送るみたいなことをしてはいない。
行動で証明しづらいので、神託付きの彼女伝いにアピールをしているのだ。
なんとしても景品が欲しい、真面目にやっているのでどうかください……ってな。
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