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DIY、真・就職活動

ヴァルハラ その11

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「『騎士王』──『騎士鑓[螺閃]』」

 彼女の──手抜きではあるが──鑓捌きをすでに計測してあった。
 騎士剣同様、打ち上げたおいたその鑓を振るい抗体たちを破壊していく。

 肉体に害を成す抗原として、世界蛇の最奥へと突き進む。
 そこで待ち受けるのは心臓……まあ要するに、直接息の根を止めに逝くのだ。

「ちなみに、『騎士王』の槍だけは『鑓』と表現されているんだよな。上位スキルっていうか、変異スキルらしいが……普通じゃ絶対に手に入らないらしいな。習得する気はないけど、どうやったら手に入るんだ?」

《武術に属する変異スキルは、『騎士王』のみが持つ(鑓術)の他にも流派スキルというものが存在します。それらはすべて、先達から習うことによって習得可能になります》

「鑑定にそういう派生は……有っても、どうせ俺には進化させられないのか」

《申し訳ありませんが、その通りです。称号などによって得られたという話は存在せず、すべて繋げられてきました。ちなみにそれらの派生スキルは、一系統に特化した世界に多く存在していると文献にございました》

 いずれは行くことになるのかな、なんてことを思いつつ奥へ進んでいく。
 抗体たちの反応が少しずつ苛烈になっていくが、『騎士王』の鑓捌きはすべてを払う。

 時折、激しい震動が起きたりするが、それはきっと体内で暴れている俺を追い出すために、体を動かしているのだろう。

 そう考えると、外がどうなっているのか気になる……結界が張られているなら、ぜひとも術式を参考にしたい的な意味でだけど。



 歩けばどこかに辿り着くように、抗体たちと戦い続けた果てにそこへやってきた。
 脈打つそれは一定の速度で動き、この小宇宙を維持するために欠かせない歯車だ。

「中がデカい分、心臓もずいぶんとデカいみたいだな……というか、死に戻りさせられているんですけど」

《心臓の脈動が旦那様を殺しております。魔力を宿す生命体の心臓であるため、その鼓動にすらダメージ影響が及んだのかと》

「ふーん……まっ、面白い死に方をできたということで。それじゃあ、今回はこれで終わりにしようか」

 一歩、一歩と前へ踏み出す。
 本能的な部分が命の危機を感じているのだろうか、鼓動の速度が少しずつ上昇して俺を殺す速さを上げていく。

 しかしながら、俺は『生者』。
 どれだけの死がもたらされようと、俺の意志が続く限り俺には生が与えられる。

「……安楽死ぐらいは、俺でもやってやれるか『死電の雷流』」

 そっと心臓へ手を伸ばし、そこで『死天』謹製のアイテムを劣化させた物を使用した。
 名前の通り電流を生み出す効果によって、心臓に電気を流し込んでいく。

 ──少しずつ、ゆっくりと心臓を動きを停止させ……そのまま永遠の眠りに着くのだ。

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