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DIY、真・就職活動
ヴァルハラ その10
しおりを挟む「──長い戦いだった。この一言に、どれだけの深い意味があるんだろうな」
ヨルムンガンドとの戦闘が終わった……とか、そんなご都合主義はない。
残念ながら、しっかりと過程を進んでいかなければゴールには辿り着かないのだ。
現在、俺はヤツの中に滞在しており、広大な胃の中で消化され続けていた。
足を踏み出そうにも、その尋常ではない消化力によって常時死に戻っている。
胃酸だけでもそれだけ強い世界蛇だが、俺はこの中でも生存……というか完全に死に切らないので活動可能だ。
というわけで、ようやく胃液から脱出した俺は、改めて『SEBAS』にルート案内を依頼する……小声で、である。
「『SEBAS』、心臓ってどっちだ?」
《旦那様から見て、右にございます。ですがこの体内、一種の迷宮と化しているようですね。このように──抵抗がございます》
「抵抗か……さしづめ俺は、外から入ってきた悪い菌だな。白血球さんやキラーTさんに殺られないよう、逃げ切らないと」
現れた抗原だが、当然擬人化などしていない教科書に載っているような形の個体だ。
問題はその数……判別が付かないぐらい多くの抗原が、一気に俺に迫ってくる。
「さすがに人体の細胞とまったく同じってわけでもないだろうし、成分的なヤツで対応するわけにはいかないかもな。本当なら密室ということでやりたい放題なんだが……どう思うか、『SEBAS』」
《監視されていますね。超小型のドローンを一機、闘技場に配置していただいておりましたが……旦那様がヨルムンガンドの中へ侵入後、スクリーンが突如現れました》
「神様が居る世界だし、ここはそれが顕著に出ているからな。音声はどうだ?」
《確認されておりません。今のところ、放映されているのは映像のみです》
つまり、まだ『SEBAS』との相談はバレていないってことか。
もともと周りを気にしていたので、口元を見てもバレないようにしてはいたけど。
読心術はともかく、読唇術ならばどうにか防げるだろう。
あとはおまけではあるが、あることを隠すためにアイテムを取りだす。
「『無貌の仮面』っと。これを付けておけば絶対に怪しむよな」
《旦那様が監視に気づいていない状況で、どのようなことをするのか……注目を浴びておりますよ》
先ほどは権能による全能性しか使っていなかったが、ここに来れば再現の解放だ。
すぐに『騎士王』の武具の扱いを再現させると、近づいていた細胞たちは死んでいく。
──あっ、これだとウィルス扱いが確定してしまったな。
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