923 / 2,550
DIY、真・就職活動
職業勇者 後篇
しおりを挟む「【勇者】とは要するに、神々に注目された者に与えられる目印だ。娯楽に付き合わされる駄賃として、死なないように強化を行っている……それが【勇者】というわけだな」
「加護があれば、誰でもいいのか?」
「そういうわけではない。【英雄】などは最悪の条件に、一度に百人を殺したことを称賛されることなどがあるが、【勇者】に求められるのはいつだって勇ましくあること。つまりは奇跡と呼ぶべき戦いだ」
「……命を賭けて戦えってわけか」
加護持ちが優遇されることは分かっていたのだが、【勇者】もそうなのか。
まあ、たしかに異世界物とかで【勇者】になるヤツってだいたい加護持ちだよな。
「だが、【勇者】ではまだ足りない。あくまで目を付けられているというだけであって、職業スキルである『迅』も【魔王】に攻撃できるようになるだけだ」
「……あっ、そこに繋がるんだな」
「基礎属性と同じ『迅』では、魔物への特攻があるぐらいだろうか。その真価は第二段階である『覚醒』を経て発揮されるのだ」
「おおっ、なんだか凄そうな言葉の響き!」
常日頃の攻撃力が1の俺としては、魔物への特攻という部分にも興味があるが……それよりも今は『覚醒』が気になる。
「『覚醒』とは職業システムに存在する、特殊な派生をした上級職だ。当人のスキルなどが関係していて、その大半がオンリーワンな職業となるな」
「やっぱり面白そうだ。で、『覚醒』するにはどうすればいいんだ?」
「称号を得るのだ。『生者』が【勇者】に目覚めたのも、称号に【勇者】に関するモノが発現したからだろう? つまり『覚醒』も、それと同じ手順を踏むのだ」
「…………なるほどね、そういうことか」
たしかに生産職をカンストさせまくったことで、得ている称号が有ったはずだ。
それが条件で【勇者】に派生先が出現したのであれば……うん、納得できる。
だが、それならもう少し発現してくれても良い気がするけどな。
たとえば『天』とか『匠』とか、そういう称号とかも。
《おそらく、運営謹製の称号なのでしょう。そちらも解析中ですが、アイテム同様独自のシステム体系がございました》
考えていると、『SEBAS』が思考を読み取ったのかそんな報告をしてくる。
まあ、こっちの奴らが防御無視とかそんな称号を持ってたら厄介だよな。
何より『冒天』の運命強化とフラグ増大の(勝手に俺が呼んでいる)能力なんて、理解できるか分からないしな。
「しかし、『生者』よ。あえて何も言わずにいたが、とうとう達したのだな。【勇者】もそれが理由であったか」
「急だな。それがどうした?」
「……いや、一つ頼みたいことがあってな。私とブリタンニアに来てもらえないか?」
突然の発言だが、普段の『騎士王』と違いたまに見る真面目な顔をしている。
なので俺もすぐに了承し、彼女の転移魔術によって移動を行うのだった。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
630
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる