虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
923 / 2,829
DIY、真・就職活動

職業勇者 後篇

しおりを挟む


「【勇者】とは要するに、神々に注目された者に与えられる目印だ。娯楽に付き合わされる駄賃として、死なないように強化を行っている……それが【勇者】というわけだな」

「加護があれば、誰でもいいのか?」

「そういうわけではない。【英雄】などは最悪の条件に、一度に百人を殺したことを称賛されることなどがあるが、【勇者】に求められるのはいつだって勇ましくあること。つまりは奇跡と呼ぶべき戦いだ」

「……命を賭けベッドして戦えってわけか」

 加護持ちが優遇されることは分かっていたのだが、【勇者】もそうなのか。
 まあ、たしかに異世界物とかで【勇者】になるヤツってだいたい加護持ちだよな。

「だが、【勇者】ではまだ足りない。あくまで目を付けられているというだけであって、職業スキルである『迅』も【魔王】に攻撃できるようになるだけだ」

「……あっ、そこに繋がるんだな」

「基礎属性と同じ『迅』では、魔物への特攻があるぐらいだろうか。その真価は第二段階である『覚醒』を経て発揮されるのだ」

「おおっ、なんだか凄そうな言葉の響き!」

 常日頃の攻撃力が1の俺としては、魔物への特攻という部分にも興味があるが……それよりも今は『覚醒』が気になる。

「『覚醒』とは職業システムに存在する、特殊な派生をした上級職だ。当人のスキルなどが関係していて、その大半がオンリーワンな職業となるな」

「やっぱり面白そうだ。で、『覚醒』するにはどうすればいいんだ?」

「称号を得るのだ。『生者』が【勇者】に目覚めたのも、称号に【勇者】に関するモノが発現したからだろう? つまり『覚醒』も、それと同じ手順を踏むのだ」

「…………なるほどね、そういうことか」

 たしかに生産職をカンストさせまくったことで、得ている称号が有ったはずだ。
 それが条件で【勇者】に派生先が出現したのであれば……うん、納得できる。

 だが、それならもう少し発現してくれても良い気がするけどな。
 たとえば『天』とか『匠』とか、そういう称号とかも。

《おそらく、運営謹製の称号なのでしょう。そちらも解析中ですが、アイテム同様独自のシステム体系がございました》

 考えていると、『SEBAS』が思考を読み取ったのかそんな報告をしてくる。
 まあ、こっちの奴らが防御無視とかそんな称号を持ってたら厄介だよな。

 何より『冒天』の運命強化とフラグ増大の(勝手に俺が呼んでいる)能力なんて、理解できるか分からないしな。

「しかし、『生者』よ。あえて何も言わずにいたが、とうとう達したのだな。【勇者】もそれが理由であったか」

「急だな。それがどうした?」

「……いや、一つ頼みたいことがあってな。私とブリタンニアに来てもらえないか?」

 突然の発言だが、普段の『騎士王』と違いたまに見る真面目な顔をしている。
 なので俺もすぐに了承し、彼女の転移魔術によって移動を行うのだった。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。 望んで召喚などしたわけでもない。 ただ、落ちただけ。 異世界から落ちて来た落ち人。 それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。 望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。 だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど…… 中に男が混じっている!? 帰りたいと、それだけを望む者も居る。 護衛騎士という名の監視もつけられて……  でも、私はもう大切な人は作らない。  どうせ、無くしてしまうのだから。 異世界に落ちた五人。 五人が五人共、色々な思わくもあり…… だけれど、私はただ流れに流され……

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

無能と呼ばれた魔術師の成り上がり!!

春夏秋冬 暦
ファンタジー
主人公である佐藤光は普通の高校生だった。しかし、ある日突然クラスメイトとともに異世界に召喚されてしまう。その世界は職業やスキルで強さが決まっていた。クラスメイトたちは、《勇者》や《賢者》などのなか佐藤は初級職である《魔術師》だった。しかも、スキルもひとつしかなく周りから《無能》と言われた。しかし、そのたったひとつのスキルには、秘密があって…鬼になってしまったり、お姫様にお兄ちゃんと呼ばれたり、ドキドキハラハラな展開が待っている!?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...